新興国の発展

新興国への貢献と挑戦
ADMの未来を拓く

ADMでの現在の役割とミッション

H.Y:
私はインドネシアの現地法人であるADM(アストラ・ダイハツ・モーター)で生産技術を統括しています。2022年に赴任し、ここ数年はカラワン車両工場第2ラインの立上げを担当しました。特に、「安全・品質・納期・コスト(SQDC)」を軸に、ナショナルメンバーと日本人出向者が一体となれるようプロジェクトを索引してきました。

M.H:
私は製造部門の責任者として、カラワン工場立上げ時は、「ボデー・塗装・組立」の準備立上げを担いました。現在は新たな組織体制のもとで、既存ラインを含めた塗装・組立ラインを見ています。最新の設備をどう使いこなし、どう現場の競争力に変えていくかがテーマです。

K.N:
私の役割は、生産技術の部門長として新工場・既存工場の両方をサポートすることです。2023年にタイから赴任し、今は「現地主導のモノづくり」を根付かせるべく、ナショナルメンバーとの連携を大切にしています。

異文化の中で見えたADMの強み

M.H:
働き方という点ではADMメンバーはとても柔軟で、いい意味で「まずはやってみよう」という雰囲気があります。何かトラブルが起きたときも、誰かの責任にするのではなく、チームでどう乗り越えるかに自然と向かっていく。その姿勢は、日本での経験と比べて新鮮でしたし、最初は驚きもありましたが、今ではこちらの強みだと感じています。新しい取組みにも前向きで、こちらから提案したことも「まず動いてみる」という姿勢で受け入れてくれる。だからこそチャレンジングな取組みもワンチームで進めやすいと思います。

K.N:
現地の方々が求めているのは、生活に根差した“実用的なクルマ”です。人がたくさん乗れて故障しにくくて、それでいて価格も抑えられている。そういったニーズに正面から応えることが、私たちADMの使命だと考えています。生産技術の日本人出向者は、現地スタッフとのコミュニケーションは基本的にインドネシア語で行っており、言葉も文化も含めて、彼らと同じ目線で一緒にモノづくりを進めることを大切にしています。

H.Y:
ADMは、ダイハツグループの中でも最大規模の海外生産拠点のひとつであり、インドネシア国内でも有数の自動車製造企業です。私は今回が初めてのインドネシア赴任ですが、現地の皆さんの真面目さ、そして仕事に取り組む姿勢には本当に感銘を受けました。納期やコストへの意識が高く、かつての日本、特に昔のダイハツの現場の熱量を思い出す場面も多々あります。一方で、異なる文化の方が多い中での働き方や生活リズムの違いも当然ありますので、その違いをきちんと理解し、尊重し合いながら進めていくことが、よりよい現場づくりの土台になると考えています。

カラワン新工場が象徴する「現地主体」の進化

H.Y:
2024年12月に稼働を始めたカラワン新車両工場の建設は、単なる工場の老朽化更新ではなく、ADM全体の競争力を抜本的に高める大きな転換点でした。日本(京都(大山崎)工場リファイン)での新技術/新工法を積極的に織り込みつつ、現地の人の意見も取り入れ、より効率的かつ高品質な生産が可能な体制に生まれ変わらせる──そんな狙いからスタートしました。今後のインドネシア市場の成長はもちろん、中韓、および東南アジア他国の競合メーカーの進出も見据えて、「コストで負けず、品質でも選ばれる」工場を目指しました。生産性、柔軟性、サステナビリティなどの要素を織り込み、持続可能な工場づくりを目指しています。

M.H:
新工場立上げにあたってのナショナルメンバーの成長ぶりには、今回あらためて驚かされました。工場の様々な運営に関しても、自ら課題を見つけて、主体的に改善していってくれる。そうした自律性が確実に育ってきています。これは一朝一夕ではなく、これまでの日本からの出向者たちが長年積み重ねてきた活動と日本側でもナショナルメンバーを受け入れ、プロジェクトを通じて日本のやり方を学んでもらう取組みの成果だと感じています。

K.N:
私も10年以上前にADMに駐在していた経験がありますが、その頃と比べて本当に大きく進化しています。当時は、一つひとつ丁寧に説明して進めていく必要がありましたが、今は違います。「これってどうなってる?」と確認する前に、「もうやってます」と返ってくることが増えました。先回りして動く力がついてきているのを感じますし、ナショナルメンバーの成長が、まさにADMの成長そのものだと思っています。

インドネシア・ADMから世界へ

H.Y:
新工場は計画通りに稼働を開始しましたが、市場環境の悪化により、まだフル稼働できていません。市場環境は決して楽観視できるものではありません。なので私たちは新工場をフル稼働させるためにADMの乗用車生産をカラワンへ一本化させる検討を始めています。これは単なる生産拠点の集約ではなく、より持続可能な生産体制への進化を意味しており、そのためにも、現地スタッフのさらなる自立を後押ししていきたいと考えています。これまで続けてきたダイハツへのICT派遣についても、今後はトヨタグループを含めて派遣先の幅を広げ、人材育成をさらに強化していきます。

M.H:
インドネシア国内、特に地方部では、まだまだガソリン車の需要があります。特に、「家族みんなで使える、小さくて安価で丈夫なクルマ」を求める声は非常に多い。そうしたお客様に対して、安くて丈夫で、長く使えるダイハツのクルマを届け続けることが、インドネシアの暮らしを豊かにすることにもつながると信じています。現場ではナショナルメンバーがますます主体性を高めており、新しいことへの挑戦にも意欲的です。これからは「インドネシアだからこそできること」にも挑戦していきたいですし、私自身も、そうしたチャレンジを後押ししながら、現地から新たな価値を発信していけるよう努めていきたいです。

K.N:
生産設備についても、今回の工場では日本からの調達に頼るのではなく、現地メーカーとの連携を進めてきました。これによりコスト低減が実現できただけでなく、現地経済への波及効果も非常に大きいと感じています。今後は、ここADMで育った技術者たちが、他の新興国での工場立上げなどでも活躍してくれるような未来を創っていけたらと思います。

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