量産BEV 開発

「環境に優しい車で次世代にきれいな空を残したい」という想い

入社後、最初に携わったのは燃料電池の材料開発です。軽自動車に搭載するシステムの中で、長く安心して使える材料を見極めるため、評価や検討を重ねました。車両全体ではなく材料という小さな領域でしたが、環境に関わる技術開発に携わるという意味では、現在のBEV開発にもつながる経験です。
私がダイハツを選んだ理由の一つに、「環境に優しい車で次世代にきれいな空を残したい」という想いがあります。実家が交通量の多い道路沿いにあり、子どもの頃から空気の汚れを身近に感じてきました。当時はCO2というよりも、排出ガスや大気中の微粒子を少しでも減らせないかという意識が強くありました。電気自動車という選択肢が広がれば、さらに1つ上の環境性能を目指せるのではないか。その想いは、今回のBEV開発に携わるうえでも、自分の中の大きな原点になっています。
その後、電気自動車の開発に関わる部署へ異動し、他社車のベンチマークや、電池パック・駆動ユニットの配置検討を進めてきました。軽商用BEVの開発には製品企画の立場で参加し、車両の質量管理や仕様・装備の検討を担当しました。お客様にとっての使いやすさと、工場でのつくりやすさ。その両方のバランスを考えながら仕様を詰めていくことが、今回の大きな役割でした。

変えないことにこだわったBEV

軽商用BEVの開発で最も大切にしたのは、ガソリン車で培ってきた「使いやすさ」をできる限り変えないことです。商用車は、荷物をどれだけ積めるかが重要です。そのため、BEVになっても荷室スペースを損なわないことを大きな方針にしました。
一方で、BEVには大きな電池パックや駆動ユニットを搭載する必要があります。重量が増えるからとブレーキサイズやタイヤサイズを変えてしまえば、小回りのしやすさにも影響します。軽自動車の規格の中で、荷室スペースや地上高を確保し、タイヤサイズも変えない。その制約の中に必要な部品を収めることには関係者メンバーで大変苦労しました。
走りについては、あえて“電気自動車らしさ”を強く出しすぎないことを意識しました。同じ事業所の中で、ガソリン車とBEVを乗り換える人もいるかもしれません。その時に、加減速の感覚が大きく違うと慣れるまで時間がかかり負担になります。ガソリン車とあまり大きく変えず、乗り換えた時に違和感のない車の動きにすること。そこに、働く人に寄り添うダイハツらしさがあると感じています。

お客様の使い方から考える

開発では、お客様が実際にどのように車を使われているのかを見ることも大切にしました。配送に使用されているクルマの後ろを走らせていただき、どのような加減速をしているのか、どのような走り方をしているのかを調査するなど、机上で考えるだけではなく、実際の使われ方に近づけていく。そうした積み重ねが、違和感の少ない走りにつながっていると考えています。
急速充電を標準装備にしたことも、働く人の使い方を想像した結果です。基本は夜間の普通充電を使われる想定ですが、配送中に渋滞にはまったり、繁忙期で長時間走り続けたりすることもあると思います。そんな時に充電できれば、あと少し走ることができます。短距離用途の方にとっては使わない機能かもしれませんが、万が一に備え、安心して業務に使っていただくための装備として考えました。
100Vコンセントも、実際の困り事を想像しながら検討した装備です。例えば、午前中の現場で空調服や電動工具の使用状況によっては、午後の現場で足りないかもしれない。そんな時に、走りながらでも充電できれば助かります。コンセントは手の届きやすい位置に配置し、駐車場から発車する前にでも差していただけるようにしました。
また、BEVは移動するためのクルマであると同時に、電気を使える“動く蓄電池”にもなります。車内だけでなく車外でも電気を使えるようにすることで、仕事の現場はもちろん、災害時には避難所や停電時の電源としても活用できます。日々の仕事を支え、万が一の時にも役に立てる。そういうクルマづくりを目指しました。

多くの人の知恵が、一台のクルマになる

BEVにすることで、必要になる部品や仕組みも変わります。ガソリン車ではエンジンの排熱を暖房に使えますが、BEVでは別の暖房装置が必要です。また、エンジン車で使っていた仕組みがそのまま使えない部分もあり、大きく制御を変更したり、新たな部品を調達し、品質を確保する必要がありました。そこでは、設計だけでなく、調達や品質保証、仕入先様の方々にも大きな力を貸していただきました。
試作車をつくった後にも課題は出てきます。BEVはガソリン車よりも重くなるため、さまざまな部品にかかる負荷も大きくなります。その中で、お客様に安心して使っていただけるクルマにするにはどうすればよいか。設計、評価、生産技術、工場など、多くのメンバーが意見を出し合いました。
性能だけを高めればよいわけではありません。工場で継続的につくれること、サービスしやすいこと、品質を守ること。さまざまな条件を満たしながら、限られたスペースの中で最適な形を探していく必要があります。課題が見つかった時に、みんなが力を出してくれた。忖度なく意見を出し合い、知恵を絞ってくれた。その積み重ねを通じて、一台のクルマは1つの部門だけではつくれないのだと実感しました。社内の設計、評価、生産技術、工場、調達に加え、EVシステムを共同開発したトヨタ、スズキ株式会社、仕入先様の方々まで、本当に多くの方に支えられて、ようやく世に出すことができたクルマだと感じています。

使い勝手を考え抜く開発を、これからも

使い勝手を考え抜く開発を、これからも

このクルマは、配送業のお客様はもちろん、建設業の方々、自治体、個人事業主の方々にも使っていただきたいと考えています。早朝や夜間の配送では、BEVの静かさが周囲への配慮につながります。建設現場では、電動工具や空調服の充電にも使えます。自治体では、普段は公用車として使いながら、災害時には電源として活用していただくこともできます。
このように、お客様によってクルマの使い方はさまざまです。だからこそ開発では、「BEVだから何ができるか」だけでなく、「お客様が日々の仕事や暮らしの中で、どのように使うのか」を考えることが大切だと感じました。実際の使われ方を見て、必要な機能や走りを一つひとつ考えていくことで、自分たちなりの答えを形にできるのだと学びました。ご購入いただいた方々の声をもとに、今後の改良につなげていきたいと考えています。
今回の開発では、上司や多くの関係者に牽引していただく場面が数多くありました。これからは、自分自身も周囲を牽引できるような人材になり、商用車だけでなく、より多くのお客様に使っていただけるクルマづくりにも、この経験を活かしていきたいです。お客様の暮らしや仕事に寄り添うクルマづくりに、これからも挑戦していきたいと思っています。

サステナビリティの取組み

サステナビリティトップメッセージ

ダイハツのサステナビリティ

サステナビリティストーリーズ

量産BEV 開発

量産BEV 製造

量産BEV 販売

DX推進

安全と健康

人材育成

環境

社会

ガバナンス

レポート

環境・人事データ

GRI対照表