取締役副社長 桑田 正規/代表取締役社長 井上 雅宏/取締役副社長 星加 宏昌取締役副社長 桑田 正規/代表取締役社長 井上 雅宏/取締役副社長 星加 宏昌

経営トップが描くダイハツの未来

ダイハツの今とこれから

3MASA体制発足から1年
領域を越えた助け合いとワンチーム経営

井上:
私は2024年の3月に桑田さんとともにダイハツに着任しました。社内の皆さんからは「突然来た人」と見られていたんじゃないかと思います。そんな3人が取締役として就任して、最初に決めたのが「根回しをさせない」こと。トップの言うことがバラバラだと、現場が無駄な確認に時間を取られてしまう。それなら最初に3人でしっかり話し合って、同じメッセージを出すようにしようと決めました。最初は「3トップ会議」と呼んでいたのですが、「トップってちょっと偉そうだよね」という声が出て、現場から「3人とも名前に「まさ」がつくので、3MASAがいい」と(笑)。最初は冗談かと思いましたけれど、実際に使ってみると、すぐに社内に浸透して、いいネーミングだなと思っています。

星加:
この1年、私の立場としてはまず「再発防止をきちんと軌道に乗せる」ことが最も重要なテーマでした。ようやくその土台が少しずつ整ってきた中で、これからは「ダイハツらしい競争力」をもう一度磨いていく段階に入っていると感じています。ダイハツの強みは、やはり“良品廉価”なモノづくり。それを一人ひとりがアイデアやチャレンジを通じて、真面目に、着実に、かたちにしていくことが大事だと思っています。また、従業員同士が部門を超えて自然に助け合える風土も、少しずつ根づいてきました。まだ領域によってばらつきはありますが、みんながお互いの仕事に理解を持ってサポートし合えるような組織を、これからも育てていきたいと考えています。

桑田:
私がダイハツに来て大切にしたのは、従業員の皆さんが今どんな思いでいるのかを、まずはしっかり聞くことでした。認証不正問題もありましたから、「このままでは終われない」「必ず再生するんだ」という強い思いを持っている方が多くいて、その気持ちは、会社が前へ進むための大きな力になると感じました。
この1年、少しずつではありますが、みんなが前を向いて進めるようになってきた手応えがあります。再発防止に関しても、従業員一人ひとりが考えながら取り組んできたものですし、それをどうやって着実に前に進めていくかが大事だと思っています。現場との丁寧なコミュニケーションも、これからさらに大切にしていきたいですね。

ダイハツの強みを再認識
良品廉価と本音の文化

星加:
私自身は、まず風土そのものを変えていかなければいけないと感じています。一番大事なのは、誰もがチャレンジできる風土、そして上司が失敗を許す雰囲気をつくること。日々の業務の中で「こうすればもっと良くなるのでは?」という声を出し合い、まずはやってみる。そんな積み重ねが、少しずつでも会社を良い方向に動かしていくと思っています。これまではプレッシャーが強く、失敗を避けがちな雰囲気もありましたが、だからこそ自由に意見を言い合える環境が大切です。そのためにも、私たち3MASAがバランスを見ながら、無理なく挑戦できる目標と業務内容を考えて、職層ごとにそうした会話ができるようにしていきたいと考えています。

桑田:
ダイハツには「本音で話す文化」が根づいていると感じています。特に、関西の人たちは率直なコミュニケーションを大切にしており、多少ぶっきらぼうな話し方をしても、みんな本音で語り合いたいという思いがあるんですね。それがこの会社の土台だと思っています。それと、もう一つ強く感じているのが「自分たちでやる」というマインドです。工夫や改善をしながら、いいものを安く、ちゃんとつくっていこうとする姿勢は、まさに“良品廉価”そのもの。ダイハツらしさの表れだと思います。
そうした風土を大切にしながら、私たちが忘れてはならないのは、やっぱり主役は現場で働いてくれている人たちであるということです。その人たちの声に耳を傾けて、やりにくいところを変えていく会社になっていく必要があると思います。階層を減らして風通しを良くしたり、本音で話し合える空気をつくる取組みも少しずつ進めていますが、時間がかかっても、そこに挑み続けていきたいと思っています。

カーボンニュートラルと電動化
「ダイハツらしい」取組み

星加:
私たちは、軽とかA/Bセグメントの小さい車を扱っていますが、小さい車って環境負荷に関してはすごく有利だと思うんですね。それから、リサイクルなど、資源の有効活用を考えても、量が少ない、車が軽いという意味では、むしろやりやすいところだと思うので、世の中のさまざまな技術を見ながら、その優位性を活かせるような、環境負荷の低減ということをやっていかないといけないなと思います。
具体的には、軽の世界でも電動化を進めていかないといけない。CO2削減という意味では、コスト面のハンディはあるんですけど、その中でも安い電動化、ダイハツらしい電動化を進めていくことが直近のポイントかなと思っています。そういうことで軽の良さを活かした開発やモノづくりをやっていくことが大事だと考えています。

桑田:
星加さんが話してくれたとおりなんですが、ダイハツには「SSC(シンプル・スリム・コンパクト)」という考え方があって、小さくてシンプルな設計は環境負荷の面でも有利ですし、メンテナンスのしやすさも含めて、これからの時代に合っていると思います。また、製品づくりだけでなく、地域との共生を見据えた環境対応が重要ですし、その根底には、従業員一人ひとりの意識の積み重ねも欠かせません。例えば、軽商用バンBEVはその一例です。限られた電池容量と走行距離で「ラストワンマイル」を担う存在として、可能性を感じています。まずは世の中にお届けして、お客様の使い方や声を受け止めながら、これをさらに磨き上げていきたいと考えています。

井上:
カーボンニュートラルといっても、車そのものの排出だけでなく、製造過程で出るCO2も含めてカーボンニュートラルを目指していかなければなりません。これは2035年を目標にしていますが、ダイハツ単独では到底できません。カーボンフリーなエネルギーが業界全体で供給されなければ意味がないので、トヨタグループや日本自動車工業会、国との連携が不可欠です。
さらに、リサイクルをはじめとした3Rの面でも、今の自動車産業にはまだまだ仕組みが足りません。アルミや鉄はある程度進んでいますが、プラスチックやレアメタルは量も少なく、リサイクルが難しいのが実情です。将来的には、所有された車がどこに行き、どのように再利用されるかまでトレースできる仕組みが必要ですし、それが結果として新しい資源を使うより安くなるような循環をつくっていく必要があります。これもまた大きな課題ですが、国や他産業とも連携しながら、ダイハツとして対応していきたいと考えています。

3R:Reduce(発生抑制)、Reuse(再使用)、Recycle(再資源化)

人材育成
「やっている人が主役」になる会社へ

桑田:
「やっている人が主役」という考え方は、大事だと思っています。ただこの1年やってみて、人員体制や仕組みの面では課題も感じており、そこは数年かけて整えていきたいと考えています。何より大切なのは、従業員一人ひとりが前を向いて「成長したい」と思い、それを実現できる仕事や環境があること。そのためには、役割を柔軟に捉え、挑戦できる機会を広げていくことが必要です。キャリアや希望をよく見て、成果はきちんと評価し、改善すべき点は丁寧にフォローする─そういったベーシックなことを、愚直に続けていくことが大事だと感じています。また、それを実現するにはリソースが必要になりますが、新入社員を採用したいと考える社員が増え、実際に、インターンシップなどに関わりたいという思いを持つ社員が出てきたことも、うれしい変化だと感じています。

星加:
桑田さんと重なる部分もありますが、「全員が主役になる」という点では、本音で語り合える関係性が何より大切だと感じています。少しずつ良くなってきていますが、もっと深く対話ができるようになれば、そこから新しいアイデアや挑戦も生まれてくるはずです。
特に、リーダーには、一人ひとりの強みをしっかり見て、それを活かす配置や仕事の任せ方を考えるマネジメント力が求められると思っています。弱みに目を向けるのではなく、強みを引き出す。それがチーム全体の力につながり、助け合いやチームワークが生まれ、結果として会社全体がより良くなる。そんな風土をつくっていけたらと思います。

井上:
過去を振り返ると、以前は国内中心だった販売も、今では海外が国内を上回る台数になっており、当然ながら組織体制や人材の配置も変わってきています。これまでの変化に柔軟に対応しきれなかった反省も踏まえ、今、私たち3MASAに求められているのは、10年後のダイハツの姿を明確に描き、そこに向けて必要な人材や体制を計画的に組み替えていくことだと思っています。そのためには、柔軟な人員再配置とあわせて、国内外を問わず、さまざまな領域で若手が成長できる機会を用意し、個人の将来像と会社の方向性がうまく重なる状態をつくることが大切です。その実現に向けて、地道に取り組んでいきたいと思っています。

これからのモビリティ
暮らしに寄り添うダイハツであり続けるために

桑田:
ダイハツの車には、“お客様に寄り添う”という強いコンセプトがあり、そこにおもしろさや意義を感じています。先日、家族で大阪・関西万博を訪れた際、高齢の父が「e-SNEAKER(1人乗りモビリティ)」で移動できたことを通じて、移動手段の大切さをあらためて実感しました。暮らしを支える“移動手段”を提供することは、ダイハツの大きな使命だと思っています。電動化やコスト、利便性など課題はありますが、常にお客様の視点に立ち、地域や国に合った車をつくることが、これからも大切になっていくと感じています。

星加:
私たちの基本は、「お客様に寄り添い、暮らしを豊かにする」こと。その寄り添い方を、もっと進化させていく必要があると感じています。軽や商用車は地域の生活に密着しているからこそ、お客様の本音に触れ、それをクルマづくりに反映していくことが大切です。実際の暮らしの中での気づきや、現場の声をモノづくりに活かす。「e-SNEAKER」のように、“かっこよく乗りたい”といったリアルなお客様の声に応える商品開発こそ、これからのモビリティ開発には求められていると思います。

井上:
トヨタグループの一員として、ダイハツに求められる役割は“最新技術を盛り込んだ上級車”ではなく、「ハイゼット」や「ミライース」のような“素の車”をしっかりとつくることだと考えています。軽で培った“良品廉価”の技術を各国の事情に応じて展開すれば、マレーシアやインドネシア、新興国などでも成長の可能性は大きいはずです。トヨタのネットワークを活かしつつ、私たち自身が方向性を定め、人づくり・組織づくりに責任を持って会社を前に進めていくことが大切だと感じています。

ステークホルダーの皆様へ
信頼され選ばれる企業へ

星加:
従業員一人ひとりが元気に、そして前向きに挑戦を続けられる会社でありたいと考えています。そうした環境こそが、自身の力を最大限に引き出し、仕事におもしろさややりがいを見出す原動力になると信じています。

桑田:
従業員一人ひとりが活力を持ち、成長したいという思いを大切にしながら働ける環境をつくることが、より良いクルマづくりにもつながると考えています。現地現物の姿勢やお客様に寄り添う姿勢を忘れず、挑戦を後押しできる会社でありたい。ダイハツで働くことが自分の成長につながったと、誇りを持って言えるような、そんな会社を皆でつくっていきたいと思っています。

井上:
ダイハツは、“暮らしに寄り添うモビリティ”を通じて、多くの人々の日常を支えてきました。国内有数のブランドを持つ自動車メーカーとして、日本のみならず海外でも、その責任と可能性を広げています。これからも、多様なステークホルダーの皆様とともに、信頼され、選ばれ続ける企業であるために、一歩一歩、着実に歩みを進めてまいります。

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