安全と健康
現場の経験を、安全活動に活かす
Y.M:
私は入社以来、京都(大山崎)工場の製造現場で長く働いてきました。現在は安全健康推進室の安全グループで、労働災害や通勤時を含む交通災害の撲滅に向けた活動を担当しています。
製造現場では、安全、品質、原価、納期、人材育成という5大任務を意識しながら仕事をしてきました。今はその中でも「安全」に特化して取り組んでいます。災害が発生した際には現地に行き、状況を確認し、なぜ起きたのか、今後どう防ぐのかを現場の人と話します。現場を長く経験してきたからこそ、作業の状況や対策の現実性は、見ればわかることがあります。
安全と健康がなければ、どんな仕事も成り立ちません。品質や効率を高めることも大切ですが、その前提には、一人ひとりが安全で健康に働けることがあります。
S.S:
私はメンタルサポートチームで、従業員のメンタルヘルス対策を担当しています。メンタルヘルス研修の企画・実施、ストレスチェックの実施と分析、相談対応、休職者・復職者の支援などが主な業務です。
働く人の心を支える仕事に関わりたいと思ったきっかけは、社会人になると、求められることが増える一方で、相談できる仕組みが見えにくくなると感じたことです。だからこそ、働く人が不調になる前に気づき、必要な支援につながれるようにすることが大切だと考えています。
教訓を風化させず、基本行動を徹底する
Y.M:
ダイハツの安全活動を語るうえで、忘れてはいけない出来事があります。2009年、短い期間に重大災害が続き、尊い命が失われました。あってはならないことが起きた年であり、そこからダイハツの安全に対する取り組みは大きく変わりました。
当時決めたルールや考え方は、今も続いています。新しいことを次々に増やすというよりも、当時の教訓を風化させず、当たり前のことを当たり前にやり続けることが大切です。私たちはそれを「凡事徹底」と捉えています。
2025年の災害を振り返ると、手順の不遵守や危険予知不足、安全確認不足など、基本行動が十分であれば防げた可能性のあるものが多くありました。だからこそ、決められた手順を守る、行動する前に一呼吸置く、周囲を確認する。そうした一つひとつを徹底することが重要です。
例えば、階段では手すりを持つ、右側通行を守る。こうした基本的なルールも、ダイハツでは大切にしています。自分は大丈夫と思っていても、転倒すれば周りの人を巻き込むこともあります。小さな行動が安全につながっていることを、伝え続ける必要があります。
データを、未然防止と職場改善につなげる
S.S :
健康面でも、早めに気づくことが大切です。2025年は、新たにメンタル不調で休業する人が増え、早期に気づき、必要な支援につなげる重要性をあらためて認識する年となりました。一方で、再発による休業は目標内に収まっており、再発防止に向けた支援には一定の手応えも見えています。
ストレスチェックの結果を分析すると、高ストレス者は、そうでない人に比べて休業に至る割合が高い傾向が見られます。だからこそ、ストレスチェックを実施して終わりにするのではなく、リスクが見られる職場に声をかけ、職場改善につなげていくことが重要です。
そのために、ストレスチェック後のフォローアップ研修を拡大し、セルフケアやラインケアを学ぶ機会を増やしています。本人が自分の状態に気づくこと、上司や周囲が変化に気づき、早めに声をかけられること。その両方を高めていきたいと考えています。
Y.M:
安全でも同じです。災害や交通事故の傾向を分析し、リスクが高い場面に絞って注意喚起や立哨活動を行っています。交通安全では、通勤時や朝の駐車場など、事故が起きやすい場面に着目した活動も進めています。
安全も健康も、結果だけを見て終わりではありません。そこに至る前の行動や環境をどう変えていくかが大切です。小さな違和感や危険の芽に早く気づき、未然に防ぐ。その積み重ねが、災害や不調を減らすことにつながると思います。
一人ひとりが自分ごととして動ける職場へ
S.S :
メンタルヘルスの取り組みでは、「自分ごと化」が大きな課題です。研修で専門的な知識を伝えることはできますが、それを自分自身や自分の職場に置き換え、実際の行動につなげてもらうことは簡単ではありません。
これまでは、安全健康推進室や保健センターが研修や支援を提供する形が中心でした。しかし、私たちだけですべての職場に対応することはできません。これからは、各職場が自分たちの課題を捉え、いきいきと働ける職場に向けて主体的に動けるようにしていくことが大切です。
2025年は、ストレスチェック後の職場改善活動について、より職場主体で改善計画を立てて進める形式に見直しました。今後も良い取り組みを共有しながら、各職場で実践しやすい仕掛けを考えていきたいと思っています。
Y.M:
安全活動も、安全健康推進室だけが何かをするのではなく、職場の一人ひとりが自分ごととして行動することが欠かせません。重大災害の伝承、災害情報の横展、PCのポップアップによる注意喚起、キャリア採用者への安全教育など、さまざまな機会を通じて安全の考え方を伝えています。
特に新しくダイハツに入社する人に対しては、なぜダイハツが安全のルールを大切にしているのかを伝えることが重要です。ルールを覚えてもらうだけでなく、その背景にある出来事や想いを理解してもらうことが、自分ごと化の第一歩になると考えています。
気づき合い、声をかけ合える職場へ
S.S :
実際には、相談することが苦手な人も多くいます。「こんなことで相談していいのか」「相談すると評価が下がるのではないか」「期待されているからがんばらなければ」と思い、我慢しすぎてしまうこともあります。
だからこそ、本人のセルフケアだけでなく、上司や周囲の人が変化に気づくラインケアも大切です。日頃からコミュニケーションをとり、弱音を言いやすい関係をつくっておく。相談する側も、相談を受ける側も、どう伝えればよいか、どう聞けばよいかを学んでいく必要があります。
Y.M:
私も現場にいた時から、みんなが気持ち良く仕事をすることを大切にしてきました。朝の表情や話し方を見て、いつもと違うところに気づくこともあります。本人は無理をしているつもりがなくても、周囲から見ると変化に気づけることがあります。そうした小さな変化に気づき、声をかけることが、けがや不調を防ぐきっかけになることもあると思います。
S.S :
ストレスは、すべてが悪いものではありません。うまく付き合うことで、成長につながることもあります。ストレスとうまく付き合いながら、自分の状態に関心を持ち、必要な時には早めに相談できる。そうした行動が自然にできる職場を目指したいです。
Y.M:
安全健康推進室の役割は、ダイハツで働くすべての人が、より安全で健康に働き、本来の力を発揮できる職場環境づくりを進めることです。元気に出社し、笑顔で帰宅する。その当たり前の日常を守るために、これからも職場の皆さんと一緒に、地道な取り組みを積み重ねていきます。