DX推進

現場を知るからこそ、デジタルの力で仲間をサポートしたい

K.K:
私は以前、工場の製造ラインで働いていました。その後、DX推進室の研修を受けたことをきっかけに、DXに関わる業務に携わるようになりました。もともとプログラムづくりが好きで、デジタルの力で現場を支える仕事に関わりたいという想いがありました。
工場では、少しのムダも見逃さない最適な手段を目指し考えながら、日々の仕事を積み重ねています。DX推進室に異動してからも、そのような努力を知るからこそ、単に仕組みをつくるということだけでなく、困り事を減らし、現場が少しでもやりやすい仕事の実現に向けて、クルマづくりに携わる仲間をデジタルの力で支えることを大切にしています。
私にとってDXは、例えば紙をデータに置き換えるような小さな変化がさらなる改善を生み、やがて大きな変革に結びつく、そのような取り組みだと考えています。

転記をなくし、データを直接つなぐ

T.Y:
私は衝突安全開発に長く携わってきており、認証に関わる業務も経験してきました。認証に関わる再発防止の取り組みでは、まず過去の資料や報告書の確認を担当し、その後、車両性能評価部のDXグループで認証試験の自動化を進める立場になりました。
この取り組みで進めたのは、認証で使用する資料の転記ミスをなくすことです。試験現場では、結果を紙に書き、それを報告書に転記する作業が多くあります。人が作業する以上、転記ミスをゼロにすることは簡単ではありません。だからこそ、システムの力でミスが起きにくい仕組みをつくる必要がありました。

K.K:
認証試験の自動化は、単に作業を効率化するということだけではなく、計測結果の記入や別の書類への転記などの、人の手が介在するミスが起きやすい工程をできるだけ減らすように仕事を変え、認証試験業務の確かさを高めるための取り組みです。
そのためにそれらの工程をデジタル化し、計測器やExcelから測定結果などをデータで取得して試験成績書を作成する、それらの情報履歴を保存するという仕組みづくりです。ただ、実際に進めてみると簡単ではありませんでした。認証試験ごとにさまざまな設備や計測器がありますし、それぞれデータの取り出し方も異なります。簡単に取り出せないものも多くあります。そのような壁が立ちはだかるたびに、現場の熟練社員と協力しながら、地道に状況を確認し、解決策を見出していくことを心がけました。

つくって終わりでは、再発防止にならない

T.Y:
一方で、仕組みをつくるだけでは再発防止にはなりません。DX推進室や車両性能評価部のDXグループなど、DXを担うメンバーがすべてをつくる形にしてしまうと、何かトラブルが起きた時や、試験内容に変更があった時に、現場では修正できなくなってしまいます。実際に試験を行う人たちが、自分たちで使い、必要に応じて修正できる状態にしていくことが重要です。
最初は、現場にも「DXメンバーがつくってくれるもの」という受け止めがあったと思います。ところが、「自分たちでもつくる必要があります」と伝えると、すぐには受け入れてもらえませんでした。スキルも工数もない中で、いきなり自分たちで対応するよう求められても難しい。それは当然の反応だったと思います。
だからこそ、まずはつくれる人を少しずつ増やすことにしました。DX推進室から教育を受け、DXグループのメンバーがつくれるようになったうえで、各試験現場から代表者を出してもらい、教育を広げていきました。現在は、現場が自分たちでつくる「自走」のフェーズに入っています。DXグループは主役としてすべてをつくるのではなく、現場が進める中で課題が生じた場合にはサポートする役割へと変わりつつあります。

現場が、自分たちの仕組みとして使い始める

K.K:
最初は、現場のメンバーも戸惑いが大きかったと思います。しかし、教育と仕組みづくりを重ねていく中で、少しずつ変化が出てきています。最近では、車両性能評価部のDXグループの所に来て、「このようにしたいのだけど、どのようにすればできるだろうか」などと相談している場面をよく見かけるようになってきました。
現場が自分たちの仕組みとして、DXメンバーと協力して取り組む機会が増えていることに、確かなDXの躍動を感じています。

T.Y:
もちろん、まだ課題は多くあります。試験によって使う設備や計測器は異なるため、同じ方法をそのまま展開できるとは限りません。そのため、各試験室の実情を踏まえながら、現場で無理なく使える形を検討しています。
DXグループのメンバーが各試験室の担当として入り、現場と連携しながら取り組みを進めています。現場任せでも、DXグループ任せでもなく、現場が主体となり、DXグループが支える形で進めていくことが重要だと考えています。

まずは仕事を変えようとする一歩から

K.K:
DXというと、それ自体が目的のようになってしまうことがあります。しかし、私が忘れてはいけないと思うことは、解決したい課題・目的を常に念頭に置いてDXに取り組むということです。再発防止はもちろん、価値の創出、現場の困り事の解決、効率化など、さまざまな課題・目的に関わるワードがありますが、それらを決して見失わず、最適な手段を見出し、DXを進めていくことが大切だと思っています。 職場では、社内のコミュニティやリモート会議などを通じた、気軽に相談できるつながりも広がっています。ほかにも相談会や、AI・DXの活用事例を紹介する場もあります。大きなテーマでなくても、「ちょっとおもしろそう」「ここが大変だから何とかしたい」といった気持ちから小さな改善に、さらに大きな改革につながることもあります。現場の中にある小さな困り事に踏み出す一歩から、DXは広がっていくのだと思います。

T.Y:
現在進めている自動化の取り組みは、認証に関わる再発防止として、まずやり切らなければならない取り組みです。二度と同じ問題を起こさない。そのために、間違いが起きにくい仕組みをつくることに、今は全力で取り組んでいます。一方で、認証以外にも多くの開発試験があります。今回の仕組みづくりや教育の経験は、将来的にはほかの試験や業務にも展開していけるのではないかと思います。まずは再発防止を確実に進め、その先で、より良いクルマづくりにつながる改善にも広げていきたいと考えています。

K.K:
DXは、限られたメンバーだけで担うものではありません。職場が自ら変わっていこうとする想いから生まれる取り組みです。私たちはそれらを全力でサポートしていきたいと考えています。

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