気候変動への対応2
ダイハツらしく、誠実に
生産カーボンニュートラルへの挑戦
ダイハツグループ全体で挑む
カーボンニュートラルの旗振り役として
U.K:
2035年のカーボンニュートラル(CN)の実現に向けて、ダイハツグループ全体で取り組むための組織として、2022年1月に「生産・物流カーボンニュートラル推進室」が発足しました。以来、私はこの室の室長として、ダイハツ工業本体だけでなくグループ会社を巻き込んだ施策を統括し、牽引しています。
Y.R:
私はそのチームで、CN実現に向けた道筋と中間目標の策定、そしてそれをどうビジネスとして成立させていくかを考える役割を担っています。単に環境を良くするだけでなく、従業員の生活を豊かにする収益性の確保も必要です。その両立を目指し、各工場と連携しながら実行計画を進めています。
SSCとマルチパスウェイを軸にダイハツらしいカーボンニュートラル
U.K:
私たちが目指すのは、「外部から価値を買って達成する」カーボンニュートラルではなくて、やはり“ダイハツらしさ”を貫いたアプローチです。その根底にあるのが、「SSC(シンプル・スリム・コンパクト)」の徹底追求で、これは軽自動車を中心にしたビジネスモデルに根差した、いわば私たちの生産の哲学です。やみくもに投資をするのではなくて、自分たちの強みを最大限に活かして、泥くさくても一歩ずつ前に進んでいく。それがダイハツのやり方だと思っています。また、トヨタの「マルチパスウェイ」の考え方も取り入れつつ、外部調達だけに頼るのではなくて、内製の技術ともきちんとバランスをとりながら、何が最適なのか、日々模索しながら進めています。
Y.R:
省エネを地道にコツコツやっていく、いわゆる“泥くさい改善活動”というのが、ダイハツらしさそのものだと思っています。外から何かを買って済ませるのではなくて、自分たちの手で現場を変えていく。その努力があってこそ意味があるし、SSCの精神がちゃんと息づいてると感じています。私たちは、現場で試行錯誤しながら、自分たちの手で進めていくスタイルを大切にしていきたいと思っています。
取組み施策の三本柱
U.K:
私たちが掲げるカーボンニュートラルの施策には、三本柱があります。1つ目が「SSC(シンプル・スリム・コンパクト)」の徹底追求と省エネの推進で、これはダイハツの根っこにある考え方ですね。2つ目が革新技術の開発とその展開です。例えば、京都(大山崎)工場で取り入れている「ドライブース」は、エネルギー効率の高い新しい塗装技術ですが、これをインドネシアのADM(アストラ・ダイハツ・モーター)カラワン車両工場の第2ラインにも展開しています。そして3つ目が、再生可能エネルギーの導入で、太陽光発電を中心に、自社だけでなく、グループ会社にも水平展開を進めています。小さなチャレンジですが、こうした一歩一歩の積み重ねが、ダイハツらしい道のりだと思っています。
Y.R:
ダイハツグループとしても、2024年の秋から国内外のグループ会社の社長クラスの方々を集めて、定例会議をスタートしました。各社の状況を共有し合ったり、現場での困りごとをざっくばらんに話し合える、そんな場づくりを進めています。まだまだ完璧とは言えませんが、皆で知恵を出し合いながら、一体となって前に進んでいこうという風土が少しずつ育ってきていると感じています。こうした積み重ねが、グループ全体の力になると信じています。
失敗を恐れず前進するチーム文化
U.K:
チーム運営で一番大切にしているのは、「顔の見える関係性」です。今、16人という少人数の組織なので、誰がどこで悩んでいるか、ちょっと顔色を見ただけでもなんとなくわかるんですね。だから、日々のちょっとした会話の中で「最近どう?」などと声を掛けて、止まっているところがないか、悩んでいることはないかを見つけることができる。それが、この規模ならではの強みだと思っています。チームの誰もが自分らしく働ける環境を意識してつくっているつもりです。
Y.R:
今年の1月からリーダーになりましたが、まだまだわからないことばかりです。でも、U.Kさんがよく「ありがとう」と言ってくださるので、それが嬉しくて、自分もメンバーに対して「ありがとう」をしっかり伝えるように意識しています。カーボンニュートラルはすごく注目されているテーマなので、どうしても身構えてしまいがちなんですが、あまり肩肘張らずに、みんなでチャレンジを楽しめるような雰囲気をつくりたいと思っています。たとえ失敗しても、ちゃんと向き合っていれば、それは絶対に次に活きる経験になる。そういう文化が、少しずつですが、このチームには根づいてきていると思います。
2035年、次世代へのバトンをつなぐために
U.K:
2035年まで、もうあと10年しかありません。時間は限られていますから立ち止まっているわけにはいきません。とはいえ、ただ走るだけではなくて、しっかりと周囲の変化を捉えながら、その動きをダイハツらしく上手に取り込んでいくことが大切だと思っています。今は、環境を取り巻く状況がものすごいスピードで動いていて、国も企業も、国内外問わずどんどん先に進んでいます。その変化をしっかり受け止めて、自分たちの言葉で、自分たちらしいやり方に落とし込む。そうやって、一歩ずつでも確実に、次の世代にバトンをつないでいくことが私たちの責任であり、使命なんだと思います。立ち止まりながらも走り続ける——そんな覚悟で、日々取り組んでいます。
Y.R:
カーボンニュートラルの取組みでは、これをやればOKだという正解があるわけではありません。だから、自分たちで問いを立てて、自分たちで答えを出していくしかない。そこが難しさでもあり、やりがいでもあると思っています。私たちのチームも少人数なので、意思決定のスピードが速いし、やろうと思ったらすぐに動ける。ダイハツが小回りの利く会社だという強みを活かして、硬直的にならず、時代や状況の変化に柔軟に、そして誠実に対応していきたい。次世代の人たちが前向きにバトンを受け取れるような挑戦を積み重ねていきたいと思っています。