当社は、従業員の安全と健康の確保は、企業活動の基盤であり、最も重要なものの一つであると考えています。そして、安全衛生の3要素である「人」「物」「管理」がいずれも欠けてはならないという観点から、災害ゼロを目標に「安全に強い人づくり」「設備や取り扱う材料の安全対策」「きめこまかい安全管理」を進めています。
また、従業員が生き生きと働くために、心身の健康はとても大切です。その支援として、健康診断・生活指導・健康相談・メンタルヘルス研修・職場復帰支援プログラムなどを行っています。
これらを通じて、従業員一人ひとりが自己の健康管理に努めることを推進しています。
また、職場環境整備として、社員への感染症予防の啓発活動、感染しにくい職場環境づくり、保健所との連携など、万全の防止体制で取り組んでいます。
当社は、社内規定で安全衛生管理組織を定め、各級管理者による適切な安全管理や運用を行っています。
また、安全衛生管理水準の継続的な向上を目指し、労働安全衛生マネジメントシステムの構築を進めています。マネジメントシステムでは、法令や社内規定を遵守することはもとより、定期的な内部監査や危険な作業のリスクアセスメントによる作業の安全化に取り組んでいます。
当社が進めているリスクアセスメントには、新規に導入する設備や工程に対するものと、既存の工程での設備や作業方法に対するものの2種類がありますが、いずれも危険性や有害性を調査して、リスクを低減する取組みです。
先行してマネジメントシステムを推進した一部の事業所では、豊田安全衛生マネジメント(株)による労働安全衛生マネジメントシステムの認証を2008年12月に取得しました。
安全衛生教育
新入社員や管理・監督者への昇格者、また、危険性や有害性が懸念される業務に従事する従業員への安全衛生教育を規定として定め、行っています。
また、労働安全衛生法で定められた危険性の高い業務以外にも、「異常処置許可作業」など社内独自に定めた業務も加えて、教育を修了した有資格者だけがその業務に従事することができる「指名業務制度」を運用しています。
当社は、事故や災害の可能性が高いとされる生産現場を中心に、本質安全化(※)の3本柱活動を進めています。この活動は、安全衛生の長期的な取組みとして、年々内容を進化・充実させながら進めています。
※ 材料や設備などの危険源そのものを取り除くことや、危害の大きさを低減させることにより、安全を確保する方策を取ること。
製造現場で起こるさまざまな異常に対して、発生状況を「見える化」することで、異常が発生する根本原因を究明し、異常そのものの発生源対策の取組みにより「異常ゼロの生産ライン」を目指す活動。
特に重篤な災害になりやすいフォークリフトによる運搬について、運搬方法を他の安全な方法に変えたり、人が作業するエリアにフォークリフトを近づけないための工夫や人が安全に歩くことができる歩行帯を整備するなど、人と車両の接触による災害を防止する活動。
ルールを守る人づくりをねらいに、社内の各所に設置された「安全道場」に全員が入門して訓練を受け、試験に合格することで「安全人間」に認定する制度を導入。安全人間認定の取得後も毎年試験を受けて認定を更新。また、安全道場や職場には「危険の体感コーナー」を設置し、はさまれや感電などの危険を学ぶ場を設置。
安全唱和(作業前に実施)
作業台車の取り扱い実地訓練
当社の従業員だけでなく、構内で建物の建設や補修工事、設備の清掃やメンテナンス工事などを請け負っていただいている協力会社の方々も含めて、労働災害の防止活動を行っています。
特に、火災や高い場所からの墜落など、ひとたび事故が起こると重大な結果に結び付きやすいこれらの工事に対しては、構内工事での安全に関する規程を定めて、工事の計画時点から協力会社にリスクアセスメントに基づく安全対策を織り込んでいただくようにしています。また、「危険な方法で作業が行われていないか」を工事計画担当者や協力会社で組織する安全パトロールチームで巡回確認するなど、工事の事故や災害防止に努めています。
労働災害・傷病の撲滅に向けての取組みを重ねています。2021年の実績は、国内事業所においては労働災害件数12件、死亡件数0件、休業災害度数率0.03※、そして海外事業所では労働災害件数13件、死亡件数0件となっています。
ダイハツは「Light you up」のスローガンの下、一人ひとりに光を当てる『健康経営』への取り組み、経営トップと労働組合とが共通認識を持ち推進しています。
最終的な目標・指標 | |||||||||||||||||
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アブセンティーイズム低減 | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ||||
プレゼンティーイズム低減 | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | |||||||
ワークエンゲージメント向上 | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ||||||||||
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健康投資 | 取り組み状況 への指標 |
社員の意識・行動変容に関する指標(健康リテラシー指標) | |||||||||||||||
全般的な効果を 期待するもの |
個別の取り組み | 健診有所見者減少 | 特定保健指導該当者減少 | 適正体重者増加 | 熟眠者増加 | 適正飲酒者の増加 | 運動習慣者増加 | 喫煙率減少 | 健全な食生活者増加 | 高ストレス者率減少 | 総合健康リスク値向上 | 働きがい向上 | 心理的安全性向上 | 長時間健診受診者面談者減少 | 職場クラスター発生ゼロ | ||
健康管理システムの導入 | 1.健康診断 | 健康診断結果に 基づく保健指導 |
特定保健指導・ 保健指導実施率 の向上 |
● | ● | ● | ● | ||||||||||
精密検査の 受診勧奨 |
精密検査受診率 の向上 |
● | ● | ||||||||||||||
女性がん検診 | 受診率向上 | ● | ● | ||||||||||||||
長時間労働者 へのサポート |
平均所定外 労働時間削減 |
● | ● | ● | ● | ||||||||||||
WEB媒体による啓発 | 2.健康づくり | 健康チャレンジ8 実践数調査 |
調査回答率の向上 | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ||||
健康セミナーの実施 ・適正体重・禁煙 ・食事・飲酒 ・睡眠 など |
LYUセミナー 受講率の向上 |
● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ||||||
産業保健・心理職による産業保健活動 | 3.受動喫煙対策 | 禁煙個別支援 | 個別支援 利用者の増加 |
● | ● | ● | ● | ||||||||||
4.食育 | バランスメニュー の提供(社員食堂) |
バランスメニュー 喫食率向上 |
● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ||||||
5.健康教育 | 新入社員、職層別 健康教育 |
受講率100%、 満足度の向上 |
● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ||||
50歳研修 | 受講率向上 満足度向上 |
● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | ● | |||||||
6.両立支援 | 治療と仕事 の両立支援制度 |
制度認知度 の向上 |
● | ● | ● | ● | ● | ● | |||||||||
7.メンタルヘルス対策 | ストレスチェック | 結果を基にした 職場改善活動 実施部署の増加 |
● | ● | ● | ● | ● | ||||||||||
休復職支援 プログラム |
実施100% | ● | ● | ● | |||||||||||||
メンタルヘルス 研修実施 |
受講率向上 | ● | ● | ● | ● | ● | |||||||||||
コロナ感染防止 | 8.感染症対策 | 感染症予防対策 の実施 |
マニュアルに 沿った対応 職域接種計画 実施100% |
● |
心身ともに健康で、他者への貢献意欲の高い従業員が多様性を受容し、人を育てることを大切 にする職場風土の中で、能力の伸長&発揮できる環境で働き、生産性を向上し続け、その活動が社内外で認知されることで採用・定着といった会社の成長につながる良循環が形成される。
健康診断は、全ての健康活動のベースとなり、健康への意識(健康リテラシー)を向上させるものです。当社では健康診断・保健指導を社内で行い、疾病の早期発見、早期治療へとつなげる「外部医療機関との連携体制」を確立しています。
定期健康診断は毎年誕生月に実施し、労働安全衛生法が定める検査項目に加え、便潜血検査(大腸)、ABC検査(胃)、喀たん検査(肺)、エコー検査(頸部/腹部)といった、がん等のスクリーニング検査を充実させています。
また、 男性にはPSA検査(前立腺)、女性には乳がんや子宮がん検診も導入しています。
ダイハツ保健センター(外観)
同(1階・健診フロア)
従業員が健康であるためには、一人ひとりの健康意識(健康リテラシー)の向上が、基本となります。
当社では、健康に影響を与える8つの習慣に着目し、生活習慣の改善に取り組む「健康チャレンジ8(エイト)」という活動を行っています。睡眠、朝食、間食、適正体重、運動、飲酒、タバコ、ストレスの8つの健康習慣について、年2回の調査を行い、従業員の自主自立的な健康づくりをサポートするためのPDCAサイクルを回しています。
また、職場単位での健康づくり活動を支援するため、社内の産業保健スタッフを中心とした講師が、職場単位のセミナーを実施しています。
スポーツ庁の「スポーツエールカンパニー2023」の認定を取得
「健康チャレンジ8」のチェック項目
□1.睡眠・・・熟睡できている
□2.朝食・・・毎日食べる
□3.間食・・・夕食後寝るまでの間食は週2日以下
□4.適正体重・・・BMI25未満
□5.運動・・・1日30分以上の運動を週1日以上
□6.飲酒・・・飲まないか1日1合まで
□7.タバコ・・・吸わないか禁煙中
□8.ストレス・・・多い方ではない
職場単位の健康づくり活動
スポーツ庁の官民連携プロジェクトに参加
健康で働き続ける職場環境づくりを目指し、2024年度の敷地内禁煙化を労使協同で推進中。
卒煙体験と喫煙者へのメッセージ動画
産業保健スタッフによる禁煙セミナー
各事業場の社員食堂では、認定基準(厚生労働省推奨『スマートミール』制度に準拠)を満たした「バランスメニュー」を提供し、食育活動を推進しています。食育を通じて従業員の健康増進を図るために、労使、給食業者、人事、安全健康推進担当部署が連携しています。バランスメニューの提供をはじめ、自ら健康的な食事ができることを目的に、様々な工夫を取り入れた社員食堂を展開しています。
更に、健康の要となる朝食や間食について取り上げたセミナーも実施しています。
社員食堂入口に「バランスメニュー」のサンプルを展示
厚生労働省推奨の「スマートミール」のロゴマーク
管理栄養士・保健師による
食育セミナー風景(Web)
若年から中高年までの全従業員が健康で働くために、各種研修に健康セミナーを織り込み実施しています(例:新入社員研修、階層別研修、新任監督者研修等)。
ここでは、健康意識向上のため、年代に合わせた参加型のセミナーを行い、社内の積極的な取り組み事例の共有等も行っています。
また、60歳以降も生き生きと働き続けることを目指して、50代を対象にした健康セミナーも実施しています。
保健師・臨床心理士による健康教育
(新入社員研修にて)
保健師による健康教育・グループワーク
近年、病気治療を続けながら働く人が増える傾向にあり、厚生労働省においてガイドラインが制定されています。これは、診断技術や治療方法の進歩により、かつては不治の病とされたものも、長く付き合う病気に変化しつつあるためです。
このような治療と仕事の両立には、職場や医療機関などとの連携が不可欠なため、当社では治療のために仕事を諦める選択をしないよう、働きやすい職場環境づくりや制度化を進めています。
また、両立支援はこのほかにも、育児や介護などにおいて積極的に実施しています。
常勤産業医のアドバイスを受ける従業員(イメージ)
厚労省のキャラクター
よりよい職場環境づくりやメンタル不調の早期発見・再発防止に向け、産業医、心理士、保健師などの産業保健スタッフが、専門的なサポートを実施しています。
未然防止対策として、年1回のストレスチェックで高ストレスと判定された従業員には、産業医による個別面接を行い、職場には組織分析結果をフィードバックしています。
また、セルフケアや管理監督者によるケア向上を目的としたメンタルヘルス研修を企画・実施しています。
更に、悩みを抱え込まず安心して働けるよう、いつでも相談できるメンタルヘルス相談窓口を設置し、メンタル不調による休業者には復職支援も行っています。
産業保健スタッフが講師となり研修実施
健康相談 待合室
健康相談室
感染予防及び感染拡大防止のため社内規準を作成、更新を重ねながら取り組んでいます。
また、安心して働ける職場を目指し、産業保健スタッフが職場と協力しながらサポートを行っています。
特に、新型コロナウイルスに関しては、手洗い・マスク着用等の基本的な予防啓発を展開。
継続的に、ポップアップ、ポスター、社内放送などで3密防止対策や効果的な換気の啓発を行っています。
更に、コロナ陽性者に対しては、療養に専念した後、スムーズに復職できるように、職場と産業保健スタッフが連携してサポートを行っています。
また、大阪府、京都府、滋賀県の3事業場において、従業員を対象に職域接種を行い、感染拡大防止に加え、周辺地域の医療機関の負荷軽減にも貢献しました。
新型コロナワクチン職域接種
産業医・産業保健スタッフと職場も加わり総出で展開