量産BEV 販売
新しい商品を、安心して提案できる状態へ
T.Y:
私はこれまで、海外営業、商品企画、国内販売企画などの業務に携わってきました。現在は、軽商用BEVを含む新型車の発売準備を担当しています。軽商用BEVは、従来のガソリン車とは販売準備から大きく異なりました。車両そのものの説明だけでなく、充電環境や補助金、ランニングコストまで含めて提案する必要があります。販売会社の皆さんが安心してお客様に説明できるよう、必要な情報や体制を整えることが、私たちの大きな役割でした。
M.T:
私はこれまで、販売会社の商談現場で使うシステムの改善や、中古車販売の企画、販売会社への出向などを経験してきました。出向先では、本部業務だけでなく、営業スタッフとして実際にお客様にクルマを販売する経験もしました。今回の軽商用BEVでは、販売会社向けの商品研修会や導入方針の作成、キャンペーン企画などを担当しています。
営業スタッフを経験したことで、商談現場のリアルな感覚は強く意識しています。研修やロールプレイングを考える時も、「実際の商談では、そこまでスムーズに話が進むとは限らない」「営業スタッフが無理なく話せる内容になっているか」と考える場面があります。きれいな説明だけでは、現場では使えません。お客様と向き合う営業スタッフが、本当に話しやすい内容になっているか。その視点を持ちながら、発売準備を進めてきました。
お客様自身も、BEVが合うかわからない
T.Y:
軽商用BEVは商用車ですので、まずは仕事でクルマを使われる法人や事業者のお客様が中心になります。カーボンニュートラルへの関心が高い大口法人はもちろん、軽自動車のサイズを活かして、中小企業や個人事業主の方々にも広くアプローチしていきたいと考えています。
特に、配送業のように一日の走行距離やルートがある程度決まっているお客様は、充電の頻度や時間帯を想定しやすく、BEVの使い方をイメージしていただきやすいと思います。そうした運行の実態に合わせて提案していくことが大切だと感じています。
M.T:
一方で、お客様自身も「自分の仕事にBEVが合うのか」がわかっていないことがあります。配送業であればイメージしやすいですが、まちの電気屋さんや建設業、個人事業主の方など、使い方は本当にさまざまです。だからこそ、最初から業種で決めつけるのではなく、お客様の仕事の中でどんな使い方があるのかを伺いながら、BEVが合う場面を探していくことが大切だと思っています。
大口法人のお客様には、カーボンニュートラルへの貢献や企業姿勢の発信が大きな価値になります。一方で、個人事業主の方には、ランニングコストや静粛性のほうが身近に感じられる場合もあります。夜間や早朝の住宅街で配送する時、BEVの静かさは周囲への配慮にもつながります。同じクルマでも、お客様によって響くポイントは違います。だからこそ、使い方を伺いながら、伝える価値の強弱を変えていく必要があります。
ガソリン車からの乗り換えやすさを強みに
M.T:
販売するうえでわかりやすい強みになるのが、ガソリン車から乗り換えた時にも、荷室の使い勝手を大きく変えずに使えることです。個人事業主の方の中には、荷室に棚をつけたり、仕切りをつくったりして、自分の仕事に合わせて使いやすくされている方も多くいます。軽商用BEVでは荷室の寸法を維持しているため、そうした工夫をそのまま活かしやすい。「今の使い方を大きく変えずに乗り換えられる」と伝えられる点は、お客様にとってわかりやすい安心材料になると思っています。
もちろん、BEVになると「航続距離は足りるのか」「途中で電池が切れないか」という不安も出てきます。そうした時に、営業スタッフが曖昧な答えになってしまうと、お客様も安心して判断できません。だからこそ、普段どれくらい走っているのか、何時から何時まで使うのか、どこで充電できるのかを丁寧に聞き取り、その使い方であれば問題ないと伝えられる準備が必要です。
T.Y:
ガソリン車であれば、一日の走行距離を聞くだけで提案できた場面もありました。しかしBEVでは、それだけでは十分ではありません。充電できる時間や場所、積む荷物、運行の頻度まで確認し、お客様の仕事の実態をより深く理解することが求められると感じています。
営業スタッフが自信を持って提案できる状態に
M.T:
BEVは、販売会社にとっても新しい商品です。電気、充電器、補助金、電費など、従来のガソリン車にはなかった知識が必要になります。営業スタッフには、どうしても得意なクルマ、不得意なクルマがあります。わからないことが多い車は、商談しにくい。だからこそ、「このクルマは商談したくない」と思われないようにすることが大切でした。
発売前には、スタッフマニュアルやeラーニングを整備し、商品研修会も実施しました。サーキットに販売会社の皆さんを集め、実際にクルマに乗ってもらい、走りを体感してもらう場も設けました。座学だけではなく、ロールプレイングを通じて、商談でどのように説明するかをイメージしてもらうことも意識しました。
そうした活動の中で出てきたさまざまな質問を集約・整理し、Q&A集として販売会社に展開しました。質問を一つひとつ拾い、現場で使える形にしていく。そうした地道なやりとりを重ねることで、不安も少しずつ減っていったと感じています。
T.Y:
今回の発売に合わせて、「電動師」制度も進めています。電費、充電器の設置、補助金の仕組みなど、BEVならではの知識を学び、一定の基準を満たしたスタッフを認定する制度です。専用のバッジをつけることで、お客様が「この人に聞けば大丈夫」と感じられるようにする狙いがあります。新しい商品だからこそ、営業スタッフ自身が安心して説明でき、お客様も安心して相談できる環境をつくることが大切です。
現場の声を集め、商談の型を育てていく
M.T:
発売後は、実際の商談現場からさまざまな声が上がってきます。中でも多いのが、航続距離への不安です。普段の使い方を聞き取り、「その使い方であれば大丈夫です」と言えるかどうかが、商談では大きいと思っています。
私たちも、BEVの販売は初めてのことが多く、まだ完成形があるわけではありません。だからこそ、現場の声を集め、FAQや提案話法を整えながら、販売会社の皆さんと一緒に、ダイハツらしいBEV商談の型をつくっていきたいと考えています。
T.Y:
今回の取り組みを通じて感じたのは、BEVの提案は、車両だけを説明して終わるものではないということです。電動化は、カーボンニュートラルへの貢献につながる一方で、お客様にとっては使い方が変わる部分もあります。だからこそ、「お客様に寄り添い、暮らしを豊かにする」というダイハツの使命を心に置きながら、一つひとつの業務に向き合っていきたいです。
M.T:
販売会社の皆さんが、「これならお客様に声をかけてみよう」と思える状態をつくることが、私たちの役割です。現場の声を聞きながら、軽商用BEVの価値をお客様に届けていきたいと思っています。