品質保証の取組み

基本的な考え方

ダイハツの品質は、「商品・サービスの品質」のみならず、「商品・サービスをつくり出すプロセスの品質」、さらに「そのプロセスを実践する従業員の能力向上システムの品質」の3つから成り立っています。当社の品質保証は、お客様のご満足と信頼を常に最優先とし、この3つの品質を永続的に向上させる取組みと位置づけています。
直接部門のモノづくりの現場においては、仕事に携わる一人ひとりが責任を持って自らの工程を完結させ、工程内で品質を保証していく「自工程完結」を徹底しています。さらに、従業員が参画する会議において、開始時と終了時に「安全唱和」とあわせて「品質唱和」を行い、日常的に品質に対する意識を高めています。また、間接部門においても自工程完結の考え方で、自業務の中で品質を確保するよう取り組んでいます。

品質に関する体制

各工場においては、毎日 「品質朝会」 にて、日々の品質状況を管理・監督者が確認することで、品質の維持・管理に努めています。 また、「工場品質会議」を月1回開催し、製造品質の改善に取り組んでいます。工場品質会議は、品質管理部門の責任者が議長を務め、工程内や出荷後に生じた品質問題、取引先様から供給された部材の不具合などについて工場長も含めて対策内容・対策状況を確認し、確実な品質改善につなげています。市場から寄せられる出荷後の不具合情報については、品質保証担当部門が中心となって解析を進め、重大な事案は品質保証部長が議長を務める会議体で検討し、さらに品質担当本部長が議長となる上位の会議体でリコール要否の審議をします。
また、品質に関する人材育成にも注力しており、品質向上のための能力を養うトレーニングの場として「品質道場」を各工場に設置しています。今後、CASEに象徴される自動車の進化に対応できる人材の育成にも取り組み、品質保証体制もさらに進化させていきます。

「Connected:コネクテッド」「Autonomous:自動運転」「Shared & Service:シェアリングサービス」「Electric:電動化」の頭文字をとった造語

内部監査

品質保証活動のさらなる強化に向けて、毎年1回以上、内部監査を実施しています。内部監査では、品質マネジメントシステムに関する国際規格の考え方に基づき、社内外を取り巻く環境やニーズの変化も捉えて監査ポイントを明確にして実施し、各部署の品質保証活動の改善を図っています。日本市場向けの商品を生産しているインドネシアのADMにおいても、国内と同様の監査を行っています。

すべてのプロセスでお客様のための品質を追求

お客様にとって、商品・サービスの品質が満足かつ信頼できるものであり、長く使えることを保証するためには、企画、設計、調達、生産、検査、物流、販売からサービスまで、すべてのプロセスが「お客様の立場」で実行されるものでなければなりません。お客様とクルマとのお付き合いは、ご購入のときから始まり、昼夜・季節・天候・道路を問わず、毎日の通勤、仕事、買い物、休日のドライブ、レジャーなどあらゆる生活の場面でお客様と密接したものです。その間、お客様と当社には、長く使っていただくための点検、整備、修理などたくさんの接点があります。ダイハツは、こうしたお客様とクルマが織り成すすべてのシーンから情報を集め、各プロセスにおいて「お客様の期待」「お客様のうれしさ」を従業員一人ひとりが考え、品質に反映させることを大切にしています。

環境教育体系図

企画・設計での取組み

お客様のもとに出向いての車両確認 お客様のもとに出向いての車両確認

企画・設計プロセスでは、開発本部内に品質に特化した組織であるQCT(Quality Control Center)を設け、改善活動を推進しています。QCTに所属する技術者が、日々報告される市場技術速報※1を全件診断し、販売会社やお客様のもとに赴いて自ら不具合を確認しています。そして、自前の解析装置で原因の究明と対策を施し、スピーディーに企画・設計に反映させています。このQCTの取組みによって、EDER※2強化と再発防止徹底、さらに不具合から得た知見を社内で展開して未然防止を図っています。

※1 ディーラーの整備部門からメーカーに報告される不具合のレポート
※2 Early Detection and Early Resolution:品質問題をいち早く発見・解決し、改善結果を速やかにお客様にフィードバックすること

調達での取組み

部品や設備などの調達においては、社内で策定された「部品仕入先評価及び管理要領」「設備及び主副資材等取引先管理評価要領」に基づいて取引先様を適正に評価・管理し、品質の確保と向上を図っています。新規取引先様に対しては、経営状態や技術力、品質管理体制を調達担当者が調査し、必要に応じて視察を実施して取引の合否を判定しています。既存取引先様に関しては、年に一度、当年度取引のあった全取引先様に対して継続審査を実施して品質や安全性などを評価し、取引継続の是非を社内の審議会で判断しています。さらに、品質保証部や工場の車両品質管理部が日常的に取引先様の製造工程確認を実施し、取引先様と協働で品質改善などを計画・実施しています。

生産での取組み(生産準備含む)

J.D. パワー2022年ブランドアワード総合1位を獲得した際、社内PCの起動時に表示されたポップアップ画面 J.D. パワー2022年ブランドアワード総合1位を獲得した際、社内PCの起動時に表示されたイントラネット画面

製造工程における品質の維持・管理のために、IoT※3を活用して、出来栄え管理に加え傾向管理もしながら、安定した品質確保につなげています。また、不具合件数についても、前日からの増減を定例で絶えず監視し、問題の早期発覚と改善に努めています。取引先様から供給される部品については、設計、調達、品質管理の各部門が品質基準を満たしていることを確認し、量産立ち上げを判断しています。さらに、日常的に取引先様からデータを入手して部品の出来栄えを確認し、必要があれば改善を要請して品質の維持向上に取り組んでいます。供給される部品については、トレーサビリティにより車両とひもづけする事で、市場からの情報で把握した製造に関する品質問題を速やかに工場にフィードバックする仕組み・体制を構築しています。こうしたダイハツの品質活動はトヨタグループ内でも評価されており、トヨタ品質向上活動表彰において「品質管理優秀賞」などを受賞しています。

※3 Internet of Things:インターネットに接続されていなかった機器、設備などをインターネットを通して相互に情報交換する仕組み

検査での取組み

車両1台ごとの検査結果と3D顔データで登録された検査員の履歴をすべて残すことにより、厳格な検査を保証しています 車両1台ごとの検査結果と3D顔データで登録された検査員の履歴をすべて残すことにより、厳格な検査を保証しています

ダイハツは、道路運送車両法に基づいて自動車メーカーに義務づけられている、生産工場における車両の完成検査の品質向上に努めています。ダイハツならではの取組みとしては、顔認証技術を用いて有資格者でなければ検査できないシステムをすべての工場に導入しています。具体的には、始業時に登録した有資格者の顔情報と、実際に検査した作業者の顔画像を照合し、無資格者による完成検査ができない仕組みとなっています。また、完成検査のデータはシステムに入力した後、ロックをかけて変更できない機能を設けることで、改ざんなどの不正を防止しています。

物流での取組み

ダイハツは、すべてのダイハツ車を、生産工場から販売店舗まで、安全かつ品質を確保しながらお届けするために独自の輸送基準を設定しています。また、輸送基地構内での作業や車両の取り扱い、輸送手続き、さらには災害や事故発生時の対応法まで、ルールが細かく示されたマニュアルを整備し、完成車輸送に携わる従業員すべてに徹底することで、品質の維持管理を図っています。

販売・サービスでの取組み

ダイハツサービス技術コンクール ダイハツサービス技術コンクール

「ダイハツ販売研修センター」にてお客様に質の高い商品提案やアフターサービスを提供できる人材の育成に力を入れています。また、全国のダイハツ販売会社の整備士による「ダイハツサービス技術コンクール」を定期的に開催し、故障診断やメンテナンス、板金、塗装、見積もりの技術を競い切磋琢磨することで優れた整備士を養成し、お客様へのサービス向上に努めています。

品質に関する従業員教育

お客様第一を実践する「人材育成」「職場の活性化」「仕事の質向上」を図るため、階層別の品質教育をはじめ、グループ会社、販売会社、取引先様とともにQC(Quality Control)活動に取り組んでいます。その一環として、毎年、当社主催によるオールダイハツQCサークル大会とオールダイハツTQM大会を開催しています。オールダイハツQCサークル大会では、マレーシア、インドネシアの生産拠点のサークルが参加するなど、グローバルな大会として規模を拡大しながら品質改善活動の成果発表を行っています。また、優秀な成績を修めたサークルは、(一財)日本科学技術連盟主催のQC大会へも積極的に参加し競い合うことで、レベルの向上に努めています。オールダイハツTQM大会では、「100年に1度の大変革の時代」における経営課題を幹部・基幹職クラスの発表により共有し、経営品質の向上と職場風土の活性化を目指しています。

オールダイハツTQM大会 オールダイハツTQM大会

品質教育 品質教育

品質教育一覧

品質教育一覧

お客様に向けて

お客様からのフィードバックの仕組み

ダイハツ車をご購入いただいたお客様に向けてアンケート調査を実施し、車両、営業担当、店舗など、さまざまな情報の把握に努めています。コロナ禍においても、オンラインでのコミュニケーションツールを用いてお客様からの生の声を収集しています。また、ダイハツ車を扱うディーラーの方々からのご意見も絶えず収集し、ダイハツ車の改善などに活かしています。

品質不具合への対応(リコール等)

クルマを安全安心にご使用いただくことを最優先に考え、車両に不具合が生じ、リコールが必要と判断した場合は、各国法規に従って届出を行うとともに、対象車両のお客様に迅速に連絡を行い、無料修理を受けていただくようにご案内しています。また、WEBサイトにも即座にリコール情報を掲載しています。当局に対しては、リコールの進捗具合などの必要な報告も行っています。

お客様相談窓口

お客様からのご相談は「ダイハツお客様コールセンター」で受け付け、内容に応じた情報のご提供や、ご質問の解決策などを回答しています。ダイハツお客様コールセンターでは、電話およびWEBメールのほか、チャットボットによるお問い合わせに対応する体制を整えています。そこでいただいたお客様からのご要望は、社内関係部署へ展開し、製品やサービスの改善に反映しています。

サステナビリティの取組み

ダイハツのサステナビリティ

環境

社会

品質保証の取組み

ダイハツのクルマづくり

製品安全への取組み

人権

サプライチェーンにおける人権尊重

ダイバーシティ&インクルージョン

人材育成への取組み

安全・健康

社会貢献

ガバナンス

レポート