ダイハツ、カーボンニュートラルを見据え、京都(大山崎)工場をリファイン ~「SSC」を進化させ、環境と人にやさしい工場として本格稼働開始~

2022年10月07日
ダイハツ工業株式会社

ダイハツ工業株式会社(以下、ダイハツ)は、カーボンニュートラルを見据え、京都(大山崎)工場をリファインし、「SSC(シンプル・スリム・コンパクト)」を進化させ、環境と人にやさしい工場として、この度本格稼働を開始。本日、安全祈願祭および竣工式を実施しました。

京都(大山崎)工場は、1973年に操業を開始し、小型車やトヨタ自動車株式会社からの受託車を中心に累計で約640万台を生産してきました。今後も競争力を維持・向上するとともに、CO2の削減並びに多様な人材が働きやすい次世代工場を目指して、2018年9月より、約50年ぶりとなる抜本的なリファインを実施してきました。

新しい工場では、ダイハツのモノづくりの考え方である「SSC」を追求し、徹底した省エネ化を実施。新設した一つの建屋に塗装・組立工程を集約するとともに、1台の車両に複数人での作業が可能になるSPS※1の採用拡大や、車両の横送り化による工程長短縮などにより、工程数を従来比約15%低減し、1台の生産に必要な時間を約30%短縮しました。さらに、新技術となる塗装工場におけるドライブースでの空調リサイクルの採用や、太陽光エネルギーの活用などと合わせ、CO2排出量を従来比約42%削減しました。
また、工場従業員の高齢化が進展する中、誰もが安全に安心して働ける「人にやさしい」工程づくりにも注力しました。組立工程では、車両に付いて歩きながらの締付作業や車内に乗り込んでの締付作業など、身体への負担の大きな作業を廃止。塗装工程では、ロボットによる自動塗布範囲を拡大するなど、作業者への負荷を低減することで、多様な人材が働きやすい工場に進化しました。
加えて、完成車輸送における物流改革を行い、高品質なクルマをタイムリーにお客様へお届けすることにより競争力向上にもつながると考えています。

ダイハツは、今回培った技術やノウハウを国内外に展開するとともに、「SSCの追求による徹底した省エネ化」「革新技術の開発と織込み」「再生可能エネルギーの活用」の推進を通じ、2035年工場カーボンニュートラルの実現に向け取り組んでまいります。そして、京都(大山崎)工場をはじめ、すべての場所で地域の皆様に愛される工場を目指してまいります。

※1 Set Parts Supply Systemの略で、車両1台分の部品を予めセットして作業者に供給する方式

京都(大山崎)工場の概要

所 在 地 京都府乙訓郡大山崎町字下植野小字北細池1番
設立年月 1973年4月
用地面積 約17万2千㎡
延床面積 約4万2千㎡(新築部分のみ)
設備投資 約350億円(リファイン工事分)
従業員数 1,669名(リファイン工事前:885名)※2022年10月1日時点
生産能力 23.0万台(リファイン工事前:13.4万台)
生産車種 トール/ルーミー/ジャスティ、ブーン/パッソ、プロボックス

リファインの主なポイント

1.全体

  • 従来、分かれていた塗装工程と組立・検査工程を新設した4階建ての建屋に集約。1階に主に組立・検査工程、2~4階に主に塗装工程を配置した多層階構造とし、熱源部分を4階に集中させることにより、作業フロアに熱が漏れないようにするなど効率的な熱マネジメントを実施。
  • 新建屋の屋根には太陽光パネルを敷設し、工場で使用する電力の一部を供給。
  • 汎用工程の拡大などにより、車種や量に柔軟に対応できる生産ラインを実現。ボデー工程では、 シェルボディやプレス部品のコンベア搬送を縮小し、自動搬送台車の採用範囲を拡大することに より、搬送ルートの柔軟な変更を可能とした。また、組立工程ではコンベアを地上化し、動力装 置の地下への埋設をやめることにより、工程長の柔軟な変更が可能。
  • 旧塗装工場跡地に配車ヤードを移設。完成車輸送のやり方を改善したことで、従来の半分の面積 で同様の台数を取り回すことができるコンパクトなヤードに進化したとともに、工場近接のレイ アウトに変更したことで、リードタイム短縮にも寄与。さらに、ヤードには大屋根を設けること で、雨天時の輸送業者による車両積み込み作業にも配慮。

2.塗装工程

  • 内板塗装など従来手塗りで行っていた工程をロボットによる自動塗布へ変更し省人化。
  • 新技術のドライブースでの空調リサイクルを採用。従来は塗装時に発生する未塗着塗料を、水を 用いて回収していたが、段ボールフィルターを用いたコンパクトな装置に変更することで、適温適湿な空調を再利用することが可能となり、エネルギー使用量を半減するとともに、水使用量の削減にも寄与。
  • 静電誘導(静電気を帯びた粒子が車体に引き寄せられるように塗着)技術による高い塗着効率により、粒子の飛び散る量が大幅に減少。塗料及びエネルギー使用量の削減に寄与。

3.組立・検査工程

  • SPSを採用拡大し、各工程で必要な部品の多くをSPS台車に載せて一括搬送することで、 通常ラインサイドに設置する部品棚を極力排除。1台に複数人を配置し、工程数を削減すると ともに、車両を吊り下げる工程では横送り化を採用することで、工程を短くすることができ、 生産リードタイムの短縮とコンパクト化を実現。
  • 人にやさしい工程づくりとして、コンベアの横を車両に付いて歩きながら行う作業は、車両と作業者が同期して部品組付けできる方法に変更。また、車両に乗り込んでの作業は、椅子に座ったまま作業ができるアームを採用するなど、作業者への負荷低減を徹底。
  • ユニット(エンジン・トランスミッション等)、インパネ、シート、HEVバッテリーなどの大 物部品は、コンベアのUターン部で車両を一旦停止し搭載するやり方へ変更。作業者の負荷を低減するとともに、高品質なモノづくりへも寄与。
  • 作業指示書は従来の紙からタブレットに変更。また、自前のAIの活用や顔認証システムの導入などのデジタル化を推進し、働きやすさと品質向上に貢献。

以上

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