2021年07月21日
スズキ株式会社
ダイハツ工業株式会社
トヨタ自動車株式会社
スズキ株式会社(以下スズキ、本社:静岡県浜松市、代表取締役社長:鈴木 俊宏)、ダイハツ工業株式会社(以下ダイハツ、本社:大阪府池田市、代表取締役社長:奥平 総一郎)は、軽自動車においてCASE技術の普及を通じたカーボンニュートラルへの取り組みを加速することを目指し、本日、商用事業プロジェクト「Commercial Japan Partnership(以下、CJP)」に参画することを決定しました。参画にあたり、スズキ・ダイハツの2社は、トヨタ自動車株式会社(以下トヨタ、本社:愛知県豊田市、代表取締役社長:豊田 章男)が保有する「Commercial Japan Partnership Technologies株式会社(コマーシャル・ジャパン・パートナーシップ・テクノロジーズ)」の株式を発行済株数の10%ずつ譲り受けます。
スズキとダイハツが得意とする軽自動車は、日本の自動車保有約7,800万台のうち約3,100万台を占め、地方部を中心に日常生活に欠かせない「ライフライン」です。また、軽商用車は、このサイズだからこそ入ることのできるエリアをカバーし、物流のラストワンマイルを支える存在です。軽自動車はカーボンニュートラル社会の実現やCASE技術の普及において重要な役割を果たすことが期待される一方、この大変革期において、軽自動車メーカー単独では解決できない課題も多く存在します。
CJPは、いすゞ自動車株式会社(以下いすゞ、本社:東京都品川区、代表取締役社長:片山 正則)と日野自動車株式会社(以下日野、本社:東京都日野市、代表取締役社長:小木曽 聡)が培ってきた商用事業基盤に、トヨタのCASE技術を組み合わせることで、CASEの社会実装・普及に向けたスピードを加速し、輸送業が抱える課題の解決やカーボンニュートラル社会の実現に貢献することを目標に、今年4月に立ち上げた取り組みです。
今回、CJPにスズキ・ダイハツが加わり、協業体制を軽自動車まで拡大することで、トラックから軽商用車まで一気通貫での物流効率化、また、スズキ・ダイハツの良品廉価なものづくりの力とトヨタのCASE技術を生かして、廉価な先進安全技術や電動化の普及に向けた取り組みを一緒に進めていきます。
<CJPでの協業による主な目標>
①物流の大動脈(トラック物流)から毛細血管(軽商用車)までつながるコネクティッド基盤構築による物流効率化
②安心安全に寄与する先進安全技術の商用車~軽自動車までの普及拡大
③サステナブルな普及を目指す良品廉価な軽自動車の電動化に向けた技術協力
「人々の暮らしをもっと良くする」「次世代に、もっといい日本、もっといい地球を残す」という自動車産業の使命を果たすべく、今後、CJPを通じて協業内容を深めるとともに、志を同じくするその他のパートナーとの連携についても、オープンに検討していきます。
会社名 | Commercial Japan Partnership Technologies株式会社 |
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所在地 | 東京都文京区後楽1丁目4-18 |
資本金 | 1,000万円(資本構成 : トヨタ60%、いすゞ10%、日野10%、スズキ10%、ダイハツ10%) |
代表 | 代表取締役社長 中嶋 裕樹(トヨタ自動車株式会社 CV Company President) |
事業開始期 | 2021年4月1日 |
事業内容 | 商用車におけるCASE技術・サービスの企画 |
スズキ株式会社、ダイハツ工業株式会社、トヨタ自動車株式会社は、2021年7月21日15時30分より、共同記者会見を開催しました。共同記者会見の模様を動画でご覧いただけます。
豊田でございます。
私からは今回の協業への想いをお話させていただきます。
「人々の暮らしをもっと良くしたい」
「次世代に、もっといい日本、もっといい地球を残したい」
これが私たち自動車産業の「ミッション」であり、今日、この場に出席している3社の創業の原点でもあります。
3月に発表いたしましたいすゞ、日野、トヨタによる商用事業での提携も同じ想いで動き出したものです。
「輸送」の現場で困っている仲間の仕事をもっと楽にして、「輸送」が支える豊かな暮らしを守り抜く取り組みが始まっております。
今回、このプロジェクトにスズキとダイハツを迎え、私たちは、「軽自動車」が支える人々の暮らしをもっと良くしていくことに挑戦してまいります。
日本の自動車保有台数の7800万台のうち、3100万台が「軽」です。地方に限って言えば、そのシェアは50%を超えております。
日本の道路の85%は、「軽」のサイズだからこそ、スムーズに行き来ができる狭い道路です。
道がクルマをつくる。まさに、軽自動車は、日本の道がつくった「国民車」であり、人々の暮らしとともに進化し続けてきたプラクティカルでサステナブルな日本の「ライフライン」と言えます。
しかし、いま、CASE革命やカーボンニュートラルという時代の要請が、「軽」の世界にも大変革を迫っております。
私は、どんなに時代が変わっても「軽」をなくしてはいけない、お客様を置き去りにしてはいけないと思っております。
60年以上にわたって、この「ライフライン」を守り、けん引されてきたのがスズキとダイハツです。
乗用車だけではなく、農業や配送など、様々な仕事を支える商用車もつくり続けておられます。
「軽商用」は、収益面だけを考えれば、非常に厳しいと思いますが、日本に「なくてはならない」クルマです。
だからこそ、必死になって、努力し、工夫し、やり続けてこられたのがこの2社だと思います。
そこにあるのは自動車産業としての使命感であり、お客様のことを一番に考える「ユーザー目線」だと思います。
この両社が一緒にやることで、7割近い「軽」ユーザーの現実を知ることができます。
そこに、トヨタのCASE技術を使って、「軽」をさらに進化させ、人々の暮らしをもっと良くするためのお手伝いができるのであれば、こんなに嬉しいことはありません。
これからのクルマは、インフラとセットで考えることが不可欠です。
今まで以上に、政府には政府の、民間には民間のリーダーシップが問われてまいります。
さらに、カーボンニュートラルは全国民・全産業が一緒になって取り組まなければ実現できない「みんなの課題」です。
3月に、いすゞ、日野、トヨタの協業を発表した後、自治体、インフラ事業者、運送事業者など、多くの方々から「一緒にやりたい」というお声をいただきました。
このプロジェクトにスズキ、ダイハツが参画し、一緒に動くことで、「商用」に加えて、「軽」の軸でも協調の輪が広がり、多くの人が笑顔になる、もっといいモビリティ社会に一歩近づけると思っております。
私たちは、個社の枠を超えて、日本のため、地球のために、「意志と情熱」をもって、行動してまいります。
ぜひとも、皆様方のご理解とご支援をお願いいたします。
ありがとうございました。
鈴木でございます。
今年の3月にトヨタ、日野、いすゞのCJPの会見を見て、大型トラックの物流拠点を結ぶだけでなく、物流拠点とお客様の家までを結びつけることで、より社会を豊かにできるのではないか、と思いました。
そのためには、商用車の58%を占める軽商用車も参加しなければならない、参加することでもっと世の中に貢献できる、との思いを4月初めのスズキの営業拠点を集めた会議で話しました。
1949年に軽自動車の規格が制定されて以降、軽自動車は、人々の暮らしや仕事に寄り添い、
生活を豊かなものにするため、地域の移動、農林水産、建設、小売、物流など、
様々な用途に使われてきました。
今、日本ではあらゆる産業がカーボンニュートラルの実現に向けて活動しており、
軽自動車の世界も例外ではありません。
お求めやすい価格でカーボンニュートラルに貢献する軽自動車を市場に送り出すこと、
お客様の生活に無くてはならない存在であり続けることが
我々の使命です。
しかし、この使命を実現しようとすると、単独では非常に難しい。
社会全体で、同じ目標に向かって取り組んでいかないと達成できません。
ダイハツも同じ思いを抱かれており、
一緒になってできることは無いかを相談させていただいておりましたが、
そのような中でトヨタから、
「一緒に日本のライフラインを守っていこう」、とお声がけいただき、
その理念、目的に共鳴してCJPへの参加を決めました。
トヨタからCJPにダイハツとスズキも入ったらどうか、と提案いただいたとき、
豊田社長も自分と同じ考えを持っていることが分かり、非常にうれしかったです。
うちの相談役の鈴木修は、軽自動車を、サイズや排気量、
そして何よりお求めやすい価格など様々な制約のなかで作り上げられた
「芸術品」と表現しました。
国民車でありライフラインである軽自動車を時代の変化にあわせて進化させ
お客様の生活をより豊かにする道具として先人たちが作り上げてきた「芸術品」のバトンを
未来につなぎたい、それが我々の使命であり願いです。
同じ志を持つ仲間として、まずは5社で一緒に取り組んでいきたいと
考えています。
ありがとうございました。
奥平でございます。
私からは今回の協業に至る経緯と協業の内容についてお話したいと思います。
豊田社長のお話の通り、軽自動車の保有は3100万台で、全体の約4割、うち800万台は軽商用車です。
軽の保有は底堅く推移しており、軽商用車は法人のみならず、個人のお客様含め根強いニーズがございます。
これだけ多くのお客様にお使いいただいている軽において、カーボンニュートラルへの対応、Case技術の普及を実現していくことで、人々の生活をより安全・安心、豊かにすることは、我々軽メーカーの責務と考えております。
一方で、これまで我々軽メーカーは、シンプルな工場、簡素な設計素質、スリムな固定費など廉価なモノづくりを徹底的に突き詰めることで、低燃費技術や先進安全技術を、価格を抑えて導入してまいりました。
また軽の現時点のLCA観点でのCO2排出量は、当社調べですが、登録コンパクト車と比較して約30%程度低く、小型のハイブリッド車に匹敵する値です。
このお求めやすい価格を維持しながら、Case技術を普及、CO2を現状より更に低減していくことは並大抵のことではないというのが我々の認識です。
まさに100年に一度の大変革です。
これらの課題を単独で対応することは非常に難しく、業界の枠を超えた取り組みが必要です。
そこで以前から鈴木社長とは、お客様のために、一緒にできることがないか?と議論を重ねてまいりました。
そこへ豊田社長から今回のお話を頂戴し、今日に至ります。
商用のプロであるいすゞ、日野に、トヨタのCase技術が加わり、そこに軽を支えてきたスズキ、ダイハツが参画することで、大動脈から毛細血管までカバーする一気通貫の商用基盤や、先進技術と廉価なモノづくりの融合による軽に相応しい電動化の実現など大きなシナジーが生み出せると確信しております。
具体的な協業の内容を、今後検討していくことも含めてご説明致します。
・1点目はコネクティッドです。
日本の物流事業者は約6万社存在しており、その約70%が従業員20人以下の小規模や個人の事業者様であり、まだまだ1人1人のお客様の困りごとに寄り添えていません。
今回の協業により、これまで把握しきれなかった現場のお客様の声の吸い上げや、トラックからラストワンマイルを担う軽商用までを繋ぐデータ含めた基盤を構築することで、物流全体の効率化などを実現していきたいと考えております。
・2つ目はお客様の安全を守る、ADASなどの先進安全技術です。
各社の技術、ノウハウを持ち寄り将来の展開も見据えて、より廉価な先進安全技術の開発に向けて検討を進めます。
・3つ目は軽・商用領域の電動化です。
カーボンニュートラルに向け、電動ユニットなどの技術協力を実施し、開発リソーセスを集約することで、廉価で魅力的な軽の電動車の開発にチャレンジ致します。
また、これら3点を各社と連携させていただくことで、軽も含めた社会実装にトライ致します。豊田社長のおっしゃる「まずやってみる」を我々も実践して参ります。
本日をもって、スズキ、ダイハツの2社は、いすゞ、日野、トヨタによる商業プロジェクトであるCommercial Japan Partnershipに参画させていただき、商用事業を起点に取り組みを始めます。協業の推進にあたっては、Commercial Japan Partnership Technologies株式会社の株式を株式譲渡によりそれぞれ10%ずつ取得致します。
今後も軽メーカーとして、ライフラインである軽自動車が、お客様にとって「お求めやすく、身近な存在」であり続けるために、小さく・軽く・安くに拘り、商品・サービスを提供してまいります。
この協業でそれを「加速」させてまいります。
ありがとうございました。
以上