2004年07月16日
ダイハツ工業株式会社
ダイハツ工業株式会社(以下ダイハツ)は、エンジン始動時の排出ガス浄化に効果を発揮する、「触媒早期活性化システム」を実用化した。火炎中のイオンを検知して燃焼を制御、触媒の早期活性化を促すシステムは世界初であり、これにより平成17年排出ガス基準75%低減レベルの量販車種での達成が可能となる。
ダイハツは2001年にムーヴ、ミラでガソリン軽自動車初となる「超-低排出ガス認定(平成12年基準。当時)」を受けるなど、低排出ガス車の投入を積極的に進めている。また、排出ガスの浄化技術として、貴金属使用量の大幅な削減に成功した自動車用触媒「インテリジェント触媒」を2002年に実用化、各車に搭載しているほか、環境性能と走行性能を高次元で両立するエンジン制御技術を開発、導入している。
今回の新技術の利点は、触媒を早期に加熱し活性化させることで、エンジン始動直後の排出ガス浄化性能を大幅に向上させることが出来る点にある。
年々厳しくなる排出ガス基準を達成するため、走行中(=触媒が加熱された状態)の排出ガス浄化性能向上はもちろんのこと、エンジン始動直後(=触媒が冷えた状態)の浄化性能向上が重要な課題である。触媒作用となる貴金属は、冷えた状態では浄化性能を発揮しない。エンジン始動後に排出ガスの熱に触れることで浄化作用が得られる。
今回の「触媒早期活性化システム」では、火炎中のイオン発生状況をもとに燃焼状態が判定できるという特徴を利用。エンジンの燃焼状態を詳細に把握し、良い燃焼状態を保ちながら点火タイミングを1/10,000秒レベルで制御する。この火炎中のイオンを検知する原理は、ガス器具の立ち消え防止装置にも応用されている。
これにより、エンジン性能をベストに保ちながら、触媒へより高温のガスを送ることができ、エンジン始動直後からの触媒活性化に成功。触媒作用の課題を克服した。
また、システムに必要なイオン検出回路等はコンパクトなサイズで既存の点火装置への組み込み型とし、サイズ・コストともに軽自動車での採用が可能な技術である。