CMFデザイナーを目指すなら、色より前に人を見よ⁈

  • 色より前に人を見よ⁈
ダイハツデザインに興味を持っていただいた方も、「CMFデザイン」という言葉をたどって、ここにたどり着いた方も、この記事を開いていただいて、ありがとうございます。学校訪問や企業説明会で学生の皆さんとお話していると、その中でよくいただく質問があります。「CMFデザイナーを目指すには、何から始めたらいいですか?」このページでは、その質問にわたしなりにお答えしてみようと思います。

■私が学生の頃、色彩勉強の前にやって良かったこと

まず簡単に説明すると、CMFデザインは製品の表面の「Color()Material(素材)Finish(仕上げ)」を担うデザイン領域のことを指します。製品の色や素材・触り心地などを通して、製品の印象を作り上げる仕事です。

もちろん仕事として取り組む以上、色彩理論やカラーセンス、素材・工業製品の成形技術などの知識は大切です。でも正直、学生のうちから全部を知っている必要は全然ないと思っています。

むしろいま振り返ると、わたし自身が学生の頃にやっていたのはもっと地味なことでした。


例えば、まず試してみたのが「いままでの課題作品にカラーバリエーションをつけてみる」こと。すでに提出した課題を「色だけ変えたらどう見えるだろう」「素材が樹脂から布になったらどうだろう」と変えてみる。当時は単純に楽しんでいましたが、後から振り返ると結構いいトレーニングだったな、と思います。同じカタチなのに、色素材を変えると急に子どもっぽくなったり、妙に高級感が出たり。そうやって遊んでみて初めて「そもそもこの製品を相手にどう受け取って欲しいんだろう」ときちんと考えはじめたからです。

■色より前に、人を見る

例えば、「元気な空間」と「元気になれる空間」って少し違いますよね。前者なら鮮やかな色や強いコントラストが似合うかもしれません。でも後者なら逆に素材の触感や光の柔らかさ、ちょっとしたアクセントなんかにホッとするような元気をもらえることもあります。どちらも「元気」という言葉で説明できます。でも思い浮かべるシーンや人の気持ちは違います。

CMFの面白いところは、こういう正解がひとつではない問いを扱うところだと思っています。だからわたしは大切なのは流行の答えを当てることよりも、「どんな人が使うんだろう、どんな暮らしの場面なんだろう」と考えることの方が大切だと思っています。

■だから、この仕事が好きです

わたしは今の仕事がとても好きです。

ダイハツでは本当にいろいろな人に向けたクルマを作ります。小さくてかわいいものから、堂々とした迫力のある佇まいのものまで。街中のちょい乗りから、農家の方の仕事道具まで。実際にユーザーの方の話を聞きに行ったり、自分自身で体験してみたりしながら、いろいろな価値観や暮らし方に触れられるからこそ、「人ってなにに惹かれるんだろう」と考え続けられる気がしています。

そしてその人にとっての心地よさや使いやすさを実現するために、手ざわりを少し変えたり、色味をほんの少し調整したり、長く保つ色を考えたり、出来るだけお客さんがお求めやすくなるように工夫したり。ダイハツのクルマが出来上がるまでに、そんな小さな積み重ねを続けています。

CMFデザイナーというと、特別なセンスが必要な仕事だと思われることがあります。でもダイハツのCMFデザインは「奇抜で大きなひらめきで世界を変える!」というよりは、誰かの暮らしに寄り添う小さなこだわりの集まりなのかもしれません。

■観察を貯める、共感を集める

だから、いま 「CMFデザイナーを目指すには何から始めたらいいですか?」 と聞かれたら、私はまず 「身の回りのいいね!となぜ?を集めてみてください。」 と答えると思います。 クルマでも服でも文房具でもカフェでも。いいね!と思ったもの。そしてそれはなぜそう思ったのか。そんな観察を少しずつ貯めていくこと。 そして機会があれば、その感覚を誰かと話してみてください。すると自分では当たり前だと思っていたことが意外と伝わらなかったり、逆に思いもよらないところで共感してもらえたりします。そういう経験の積み重ねが、後から振り返るといまの土台となっている気がします。

もし、そんな日常の些細な気づきや小さなときめきを「おもろい」と思える方がいたら。 この文章が届いていたら嬉しく思います。 そして、いつかどこかでお会いできることを楽しみにしています。

■普段の仕事 ~アイデアのタネを探し育てる日々~

普段は先行開発のグループで、製品になる前の「タネになる素材や表面処理(仕上げ)」を考えています。クルマの材料も、今までにない見え方や環境に優しいものが求められてきています。欲しい!と思ってもらえる魅力はもちろんのこと、それを工場で量産できる体制が整うまで、大切にマテリアルを育てて、製品開発へつなげていきます。 

■平日の過ごし方

ある日のスケジュール

「タネになる素材たち」は、ダイハツデザイン部の力だけではなく、いろんな部署の方、いろんな取引先の方のご協力があって初めて実現まで漕ぎつけるものです。「次はどんなタネをつくるか」「どうやったらこのタネを実現できるか」、会社にいるときはそういった技術者の皆さんとの打ち合わせをしていることが多いです。合間の時間で次の会議に使う資料をギリギリで作ることも。でも「このタネの魅力」を考えるのはやっぱりデザイナーの仕事。自分で絵を描いたり、会社の設備で試作してみたりするのは、会議が一段落した夜にゆっくりとやります。 

■休日の過ごし方

街ぶら(アクティブver.)

元気な時は梅田などへ出かけてぶらぶらしています。外食が大好きなので、カフェなどに立ち寄るのはマストです。料理はするのも好きですが、自分じゃ作れないクオリティのものを食べるのって最高ですよね。あとは最近手芸店へよく行きます。無意味に気に入った布とか糸とか買ってきては溜め込んでいます。買う時はあれ作ろうとか考えているのに、持って帰ったらもう作らないんですよ 笑

家day(ゆっくりver.)

逆にまったく家から出ない日もあります。ごはんもインスタント。ソファに座って、ひたすら動画を見る。たまにベランダに集めている植物たちを眺める。水は遣らない。偶然見つけたサイトで可愛い雑貨を買い漁る。平日にやったガチャガチャのコレクションを本棚に並べて悦に入る。家の中にはそういうぼーっと見つめてニヤニヤできるエリアをたくさん作っています。

( PROFILE )

いけさや

CMFデザイナー

2018年入社

東京造形大学卒

ページ先頭へ