学生時代を振り返ると、私がクレイモデラーを目指すために高いモチベーションを維持できたきっかけは2つありました。
──ひとつめは「憧れ」です。大学1年生のころ、先輩から「クレイモデラー」という職業があることを教えてもらいました。平面のスケッチが手仕事で立体になっていく様子は、職人のように見え、そのカッコよさに強く惹かれたのを覚えています。
ありがたいことに大学にはクレイモデリングの環境が整っていて、すぐに実際のクレイに触れることが出来ました。初めてクレイを削った時を振り返るとものすごく下手で、当時の写真を見返すと頭を抱えるレベルです。しかしその削り心地や音、そして自分の手でカタチを生み出せたうれしさから、気付けばクレイモデラーという存在に強く憧れていました。私にとってそういった強い憧れがあったからこそ、高いモチベーションを維持し続けることができたのだと思います。
──ふたつめは「外の世界」です。私は大学2年生の頃に低学年向けのモデラーインターンシップに参加しました。クレイモデラーに憧れていた私は、何としてでも参加したいという思いから、事前課題やポートフォリオ制作に打ち込みました。また、スキルアップを図り、デザイナー志望の先輩との共同制作にも取り組み、スケッチの意図を読み取りながらカタチにする経験も積みました。
そうして参加したインターンシップで、私は初めて自分の現在地を客観的に知ることになりました。
現場で働くプロの技術に触れたことも印象的でしたが、それ以上に印象に残ったのは、同じモデラーを目指して集まった学生たちとの出会いです。 私はこれまで自分なりに努力して、上達してきたつもりでした。しかしそこには、自分よりずっと高いスキルを持っている人や、自分にはない考えを持っている人たちがたくさんいました。そうした同志たちと制作したモデルを評価し合う中で、私は、自分が見ていた世界がまだ狭かったことに気付き、見つめ直すことができました。インターンシップに参加するまでは、上達にはひたすら手を動かすことが重要だと考えていました。しかし、多様な価値観や考え方を持つ人々と出会い、技術だけでなく物事の捉え方にも大きな違いがあることを実感しました。その中で、自分に足りない点や伸ばしたい強みが見えるようになり、どのようなスキルや姿勢を持ったモデラーになりたいのかを具体的に考えられるようになりました。
だからこそ、学生の皆さんにも興味のある分野や憧れる環境があれば、ぜひ早いうちに飛び込んで頂きたいです。インターンシップで得られるものは技術だけではありません。自分より高いレベルの人、自分とは違う考え方を持つ人との出会いによって、自分の現在地や可能性を知ることができます。私にとってこのインターンシップは、「上達するための経験」以上に、「自分の世界を広げる経験」でした。そして世界が広がったことで、目指すべき方向も以前よりはっきり見えるようになりました。学生時代だからこそできる挑戦が、将来を大きく変えるきっかけになると思います。