ダイハツ工業株式会社｜ダイハツのDX DX座談会

デジタル化への取り組みにおける 「ダイハツらしさ」とは?: トップダウンではなく、社員一人ひとりが問題意識を持ち
自主的に取り組んでいる、
それがダイハツ工業のDXの大きな特徴です。
部署やキャリアの異なる4人の社員に、
DXについて語り合ってもらいました。

H.M

人事部人事室労務厚生G
家政学部卒 1990年入社
T.K

人事部人事室労務厚生G
文学部卒 2018年入社
O.K

車両生技部プレ生DEC
生産工学部卒 1996年入社
A.T

コーポレート統括本部 DX推進室
データサイエンス学部卒 2022年入社

どのようにデジタルツールを活用しているか教えてください。

プレス金型設計グループのリーダーを務めているO.Kです。完全図面レスの3D設計実施や自動設計プログラムの内製などに加え、製造現場でAIをさまざまな業務に適用する検証も進めています。
人事部で福利厚生を担当しているT.Kです。上司のH.MさんのもとでSDGsの一環としてフードロスの削減に取り組んでいます。人事に蓄積されているデータを可視化するためにTableau(タブロー)というBIツールを使っています。
T.Kさんと同じ人事部福利厚生チームのリーダーでH.Mといいます。フードロスをAIで解決できないかというアイデアは私が別のチームにいた頃からありましたが、他のテーマを優先したため手つかずのままでした。社内でTableauの勉強会に参加したときにDX推進室の方にフードロス削減に使えますかと聞くと、社内複業でDX推進室の業務を担当している車両性能開発部の方をサポート役につけてくださいました。
AIを民主化して社内の誰もが使えるようにするために、工場へのAI導入や実装にあたってのアドバイスを担当しているA.Tです。全社を対象としたAI講座の講師も務めていますので、ぜひ参加してください。

AIやBIを活用するようになったきっかけは何ですか？

私はA.Tさんが入社する前にAIの基礎と中級の講座を受けました。そのときに同期だったのがO.Kさんです。
そうでしたか。私は業務ではO.Kさんと関わっていませんが、技術研究会で知り合うことができました。
技術研究会ではどのような活動をされているのですか。
AIを活用したデータ分析のコンペティションが年に4回開催されており、それに参加しています。O.Kさんはライバルですが、ずっと上位に入賞しておられ私は全然かないません。
50人くらいが参加するコンペで2回優勝させてもらいました。与えられた課題に対して、どれだけ精度の高いプログラムを組めるかを競うのですが、「アメリカの中古住宅の価格を予測する」みたいな業務と全く関係ないテーマに取り組むのが面白いです。
O.Kさんがすごい方だということは聞いていましたが、AIのスキルはどうやって身に付けられたのですか？
AIやアプリ開発に関わる業務の担当ではありませんし、プログラムの専門教育も受けていません。覚えたら仕事を楽にできそうなので、1年半くらい前から勉強しています。技術研究会のコンペに参加したのは独学の限界を感じたからです。順位が発表されるので励みになりますね。
私は文系の出身ですが、理科が好きで数字を扱うのも苦にならないのでAIに興味を持って社内の勉強会などに参加していました。数学が苦手でAIやBIを敬遠する人もいますが、ロボットがあれば数学の知識がなくてもデータを分析できることを知りました。
メンバーがAIやBIを扱うことに慣れないと、実際の業務に組み込んでいくにはハードルの高い部分もあります。私がフードロス削減のためにAIを利用しようと考えたように、何かきっかけがあればいいのかもしれません。
私は「退職者予測ロボット」を作りたいと思ったことがきっかけになりました。さまざまなデータから退職の兆候がある社員を見つけて、フォローすることで思いとどまってもらうことが目的です。
人の心を汲み取るロボットの開発は難しいですね。
膨大なデータをどう処理すればいいのかわからなくて頓挫してしまいました。
「退職者予測ロボット」のアイデアは面白いですね。DX推進室に相談してください。

DXをさらに浸透させるために必要なことは何ですか？

それぞれの部署にキーマンになる人がいると、そこからフォローアップしやすくなります。いま私の部署で独自の講習会を実施していますが、それもキーマンを育てることが目的です。DX推進室に相談するのも業務の課題について説明するのが大変だし、理解してもらえるかなという不安もあります。でも、私なら設計も製作も知り尽くしているので、これだったらAIが有効なんじゃないかなとアドバイスできる。そういう人が各部署にいればDXはもっと広がるでしょう。
盛り上げてくださる方が一人でもいれば、その周辺がどんどん活性化されます。
そうですね。疑問に思ったことをすぐに聞ける人が身近にいると、プロジェクトが滞らずに進むので面白くなってきます。人事にはそういう人材が足りないので、T.Kさんにキーマンになってもらいたいと思っています。
頑張ってご期待に応えたいと思います(笑)。通常業務と並行してフードロスに取り組んでいるので、短期間では成果を出せません。でも、H.Mさんは急いで結果を求めず長いスパンで見守り、任せてくださいます。キーマン育成は長い目で見ることも必要だと思います。
各部署でキーマンの方が育って、私たちDX推進室の業務が減っていくことが一つの理想です。そうなるように伴走型でサポートしています。着実に事例は増えていますし、以前研修に参加していた現場の方がアプリを自作するなど、DXの浸透に大きな手応えを感じています。
ただ、部署ごとに優れたアプリを開発しているのに、それを全社で共有できていないのはもったいないと思います。内製の課題かもしれません。

DXの先にあるダイハツ工業の未来をどのようにイメージしていますか？

まだ入社したばかりで未来は想像できませんが、私は大学でデータサイエンスを専攻していたので、AIを使って課題を解決する仕事に就きたいと考えていました。ダイハツ工業のインターンシップに参加した時に、社員の裁量が大きくて、自分でテーマや目標を設定してガンガン進められる印象を受けました。就職活動でいろいろな会社を回りましたが、ダイハツ工業は全社でDXに取り組んでいるのを実感できたことが志望動機になりました。
DXの推進により革新的なイメージが浸透して、ダイハツ工業は他社と少し違う、日本っぽくない会社という個性を確立できたら面白い。お客様のロイヤリティも上がるし、就職の志望動機にもなると思います。
誰かが何かやりたいと思ったら、すぐにAIやBIを使ってデータ分析し、実現できるようになったら楽しいでしょうね。
将来的には自動車を作るだけでなく、人々の暮らしを支えるインフラ的なアプリやシステムを提供する会社になっているかもしれません。H.Mさんの「退職者予測ロボット」のアイデアを商品化したら、大きな反響があると思います。
そうですね。人事部が蓄積しているデータは宝の山なので、これを未来に向けてどう利活用していくかがT.Kさんと私の課題です。
人事部が持っているデータには、大いに興味があります。工場の数値や画像と違って、人事のデータには人の意志が反映している定性データなので分析が難しく、やりがいがあると思います。フードロス削減とか本当に楽しそうでうらやましいです。
ぜひ参加してください。O.Kさんのような方と私たちのデータをマッチングできれば、大きな可能性が拓けると思います。
そこを繋いでいくのもDX推進室の役割ですね。もっと頑張らなくては。
現場の若い人たちが部署の枠を越えて、社内にあるさまざまなデータに興味を持ってくれたら、多くの価値が生まれるはずです。それは間違いなくダイハツ工業の未来を支える力になり、10年先には、GAFAみたいなイメージの会社になっているかもしれません。

あなたが考える「人にやさしいみんなのデジタル」とは？

私の子どもは小学校1年生ですが、教えていないのにスマホの操作を覚えたし、ゲームもどんどん上手くなります。本人が興味や好奇心を持って触れるうちに、スキルや知識が身に付いていくんです。楽しんでいるうちに、自然に使いこなせる。それが「やさしいデジタル」なのかもしれません。
AIやBIを利用する時に、操作を学んだり仕組みを覚えたりする必要がなく、気付かないうちに助けてもらえるようになったらうれしいですね。
デジタルを意識せずに、恩恵に預かれる環境。頑張らなくてもツールが使えて、自分の意図したものが簡単に作れる世界は、そう遠くない未来に実現するかもしれません。
はい、新しいツールが次々に開発されていますし、生成AIなど社会に大きな影響を与える技術も話題になっています。こうした技術が社内の標準になった時に、みんながスムーズに活用できる「やさしいデジタル」の環境を整備することが私をはじめとするDX推進室の役割です。
誰もが当たり前のようにデジタルを活用して、さまざまな価値を創出できる環境。それがダイハツ工業の「⼈にやさしいみんなのデジタル」が目指す到達点だと思います。