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~安全・便利を形にするモノづくり~「ウェルカムオープン機能」

2019年7月に発売された新型タントは、従来型からあらゆる面でバージョンアップを図ることに成功。多彩な装備・機能の中でも特に目を惹くのがスライドドアのウェルカムオープン機能だ。多くのお客様から高い評価を得て、2020年9月発売の新しいトールにも搭載されたこの機能。その設計・開発を担ったのが、電子技術部 電子PF(プラットフォーム)開発室だった。

電子技術部 電子PF開発室

M・M

情報科学研究科 システム工学専攻修了
2010年入社

電子技術部 電子PF開発室

F・K

理工学部 電気電子工学科卒
2020年中途入社

技術検討の初期段階で
クリアすべき課題のリストアップと潰し込み

新型タントの企画・構想が始まったのは2017年。「すべての人に寄り添うクルマを」をコンセプトに、様々な機能・装備の追加やブラッシュアップが検討された。その中の一つがウェルカムオープン機能だ。降車時にインパネのスイッチで予約をしておけば、乗車時に電子カードキーを持って車に近づくだけでドアが自動で開錠・オープンする。

「車体系設計部署から企画部門への提案を受けて、まずは技術検討に入りました」。そう話すのは、ウェルカムオープン機能の制御ECUの設計・開発を担当したMさん。企画部門や品質保証部など、複数の部門で構成されるワーキングチームの電子技術設計リーダーも務めた。「当時、市場にはウェルカムオープン機能に類するシステムを搭載した軽自動車は存在していませんでした。そのため、まずはウェルカムオープン機能を形にする上で課題となり得る要素を洗い出す必要がありました」。その結果、電子カードキーの検出の方法と範囲に関するテーマが一番の課題として持ち上がった。

お客様の立場を常に意識し
安全性と利便性を追求

車体の内部に搭載されたアンテナが、電波で電子カードキーを検出することで「車に近づくと自動で開錠してドアが開く」という挙動が可能となる。問題は、そのアンテナが車体前方に搭載されていることだった。「つまり前方部への検出範囲が広くなるので、前方から近づくと遠距離からでもドアが開錠・オープンしてしまうんです」。

この挙動の最大の問題点は安全性を損なう点にあった。「例えば、商業施設の駐車場のような車が密集している場所では、スライドドア周辺に対して死角が生まれやすくなります。そんな状況で遠距離でスライドドアが開いて、もしもドアの近くに小さなお子さんがいたら、万が一のことが起きかねません」。検出範囲を狭くすれば、とも考えたが、それだとドアの目前で「開錠」「オープン」の2段階の動作が行われるため、乗車までの待ち時間が長くなり、利便性が著しく低下する。

ワーキングチームの定例会議でも、頻繁にこのテーマが議題に上がった。各部門が安全性や利便性について独自の理想を持っているため、議論が白熱することも珍しくなかった。「だからと言って、安全性と利便性のどちらかを妥協するのは言語道断です。私たちのミッションとは、安全性は確保したまま、利便性を向上させることなのですから」。

開錠とオープンで検出段階を分け
キーの検出手段を工夫

思うような成果が得られず頭を悩ませていたある日のこと、あるアイデアが閃いた。「今まではドアの開錠とスライドドアをオープンさせるための電子カードキーを検索する範囲を同じ扱いとしていました。しかし、開錠の検出を1段階目、ドアのオープンの検出を2段階目という形で分け、各段階で個別に検出範囲を設定すれば、問題が解決できることに気付いたんです」。

ドアの開錠自体にはお客様を危険に晒してしまう要素はない。その可能性があるのはドアが開くときだ。「つまり、開錠に関しては車から離れた位置やドアが見えない位置で行われても問題ありません。危険が伴うドアのオープン時のみ検出範囲を狭くして、ドア周辺を視界に捉えられる位置で開くようにすれば危険はないと考えました」。

この方法であれば、ドアの目前で行われる動作は「オープン」のみのため、利便性も問題なく確保できる。ワーキングチームでこのアイデアについて説明すると、各部門から大きな賛同が得られた。「検出段階を個別に分けるための設計は簡単ではありませんでしたが、試行錯誤の末、期日までに機能を形にすることができました」。

こうして2019年7月、新型タントは無事発売されるに至る。「発売からしばらくして、ウェルカムオープン機能がお客様から高い評価を得ていることをCS関連部門のメンバーから伝え聞きました。そのときに初めて『プロジェクトをやり切ることができた』と実感しました」。

ウェルカムオープン機能の
他車種への展開に挑んだ若い力

新型タントで好評を博したウェルカムオープン機能を、2020年9月発売の新しいトールにも搭載することが決定。このプロジェクトにおいて制御仕様および制御モデル・制御ソフトウェアの作成を担当したのが、当時入社1年目のFさんだった。「非常に重要な案件を任せてもらえたなと感じました。クルマづくりとダイハツ車への興味から入社を決めたので、不安よりも楽しみの方が大きかったです」。

先の新型タントの開発で、ウェルカムオープン機能のノウハウは既に蓄積されている。Fさんの役割は、軽自動車のタント向けに開発された機能を、小型乗用車のトールに展開・実装することに比重が置かれた。「同じ部門の先輩や、他の部署の方と相談しながら、一つひとつ課題をクリアしていきました」。日々の開発と並行して、部品の仕様や社内システムについても勉強を進める必要があった。「大変でしたが、大きい案件に携われていることが嬉しくて、モチベーションはずっと高かったですね」。

新しいトールへのウェルカムオープン機能の搭載決定から、発売予定日まで時間の猶予がなかったため、開発にはスピード感も求められた。濃密で目まぐるしい毎日だったが、自分の役割に真摯に向き合い続けた。「新型タントを購入されたお客様が、ウェルカムオープン機能のどういった点に利便性を感じているかも把握したかったので、CS関連部門にも必要に応じてヒアリングを行いながら開発を進めていきました」。

そして2020年9月、新しいトールは発売の日を迎えた。「入社して初めて担当した車だったので、プレスリリースを見たときには今までに味わったことのない達成感がわき上がってきました。新しいトールに関するインターネットの記事も探して回って、記事を見つけては食い入るように読み込んだり(笑)」。

プロジェクトを完遂し
未来を見据えるビジョンとは

現在、Fさんは自分自身のキャリアビジョンを明確に思い描いている。「もっと専門的な知識を高めて、目に見える課題だけではなく、課題だと認識しづらい課題にも気づける力を付けたいと考えています。いずれはMさんのように、新しい機能の開発を任せられる技術者になりたいです」。

この言葉を受けてMさんはこう続ける。「ウェルカムオープン機能の開発を通じて、非常に貴重な経験ができました。だからこそ、今後は彼のような若い世代に優先的にこうした経験をしてほしいと考えています。私自身は一歩引いた位置から、若い世代のアドバイザーとして在りたいですね」。

若手、中堅、ベテラン、世代や立場を越えて全社員が想いと力を結集し、ダイハツはこれからもお客様に寄り添うクルマを開発し続けていく。

学生の方へのメッセージ

M・M ダイハツは年次を問わずチャレンジしやすい会社です。自分のやりたいことを明確に発信できる人は大きなやりがいが感じられると思います。ちなみにFさんがまさにこのタイプで「こんな仕事をしたい!」という意思表示が非常にハッキリしています(笑)。

F・K おっしゃる通りです(笑)。事実、私は就職活動でも自分のやりたいことを明確にしていろんな企業を研究し、その結果ダイハツと出会うことができました。皆さんもぜひ、いろんな会社に目を向けてみてください。そして、私のように自分に合う会社を見つけてほしいと思います。